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中国人は「謝罪なきオバマ広島訪問」をどう受け止めたか?

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第206回】 2016年6月3日
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オバマ米大統領が訪れた広島の平和記念公園。オバマ大統領の演説は「謝罪の有無」よりも「核廃絶への決意」が強調された

 オバマ米大統領が27日、被爆地の広島を訪れ、17分にわたる演説で核廃絶を訴えた。オバマ大統領の広島訪問は中国でも多くの国民が注視したが、中国ではこの訪問がどのように伝えられたのだろうか。

 中国のメディアが一貫して注目していたのは、原爆投下に対するオバマ大統領の「謝罪の有無」だった。

 中国では日本以上に「謝罪の有無」に拘泥した。もし仮にオバマ大統領が謝罪をすれば、中国も日中戦争時の暴力行為に対し、繰り返し日本に「謝罪」を求めることができるからだろう。

 だが、一方で戦勝国のアメリカが敗戦国の日本に頭を下げれば、日本の「被害国」としての印象を際立たせ、「加害国」としての立場を弱めてしまいかねない。

 訪問を前にオバマ大統領は日本のメディアに「(メッセージに謝罪は)含まない」としたが、これも中国にとっては分が悪い。アメリカが謝罪をしないという態度は、「日本は中国に謝罪しなくてもよくなった」という暗黙の了解を与えることにもなりかねないからだ。

 謝罪してもしなくても、中国にとってその展開は好ましからざるものとなる、アメリカの大統領の広島訪問はそんな複雑さを秘めたものとなった。

 だが、日本の被爆者たちにとっては、謝罪があろうがなかろうが、平和を願う気持ちに揺らぎはなかった。

 周知のように、演説では原爆の投下についての謝罪はなかった。だが、広島の多くの被爆者たちは「謝罪の有無」を乗り越えて、「核廃絶をめざす勇気」と述べたオバマ大統領に共感を示した。朝日新聞によれば、日本原水爆被害者団体協議会の事務局長を務める田中熙巳さんも、広島を訪ねるオバマ米大統領に送った要望書に謝罪要求を入れなかったという。

 日本のメディアもオバマ大統領の演説に対して「謝罪の有無」よりも「核廃絶への決意」を重点に置いて報道した。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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