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China Report 中国は今

日中関係が改善していると思っているのは日本人だけ

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第204回】 2016年5月6日
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 4月30日、中国・北京で岸田文雄外相が李克強首相、王毅外相らと会談した。国際会議を除いて日本の外相が中国を訪問するのは、2011年以来5年ぶりのこと。一歩前進を期待させる一方で、会談が暗示したのは「楽観は禁物」という脆弱な日中関係だ。

4月30日、日本の外相としては5年ぶりに訪中した岸田外相(左)は、李克強首相(右)や王毅外相らと会談したが… Photo:REUTERS/AFLO

 近年、中国で沸き上がる訪日旅行ブームにより「日中の二国間関係も好転している」と感じた市民や企業人も少なくないだろう。日中関係は改善に向かっているかのようだったが、実は中国当局は内心腹を立てていたのである。

 それが現れたのは、会談中に中国側が示した「4つの希望と要求」である。そのひとつに「二度と中国脅威論をまき散らさないこと」という強めの文言がある。安倍晋三首相が国際会議の場で中国の海洋進出への批判を繰り返してきたことが、中国の癇(かん)に障ったようだ。

改善ムードくっきりの2015年

 今年の春節、埼玉県のある友好団体が主催した賀詞交歓会の席で、中国大使館員が述べた言葉は印象的だった。

 「2015年を節目に、日中関係は改善の方向に向かっている。複雑な問題が残されているものの、中国には『問題より解決策の方が多い』ということわざがある」――

 会場のムードはそんな前向きなスピーチになごんだ。2012年に尖閣諸島を国有化して以降、数年に及んだ「堅い空気」はすっかり取り払われたかのようだった。

 2015年を振り返れば、安倍首相は4月、訪問先のインドネシアで、習近平国家主席と会談した。2014年11月の北京での会談で険しい表情を崩さなかった習氏が一転してにこやかな表情になり、習氏が「中日関係は改善してきた」と述べたことは日本でも話題となった。

 
 
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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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