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AV出演強要問題、この15年で業界は驚くほどホワイトになった

松原麻依 [清談社]
2016年6月10日
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川奈まり子氏(左)と中村淳彦氏(右)が語り合う、AV業界のリアル

国際人権団体ヒューマンライツ・ナウが「AV女優強制出演」の被害をまとめた報告書を公表し、方々で波紋を呼んでいる。『名前のない女たち 企画AV女優20人の人生』(宝島社)や『AV女優という職業』(幻冬舎新書)などで数多くのAV女優たちを取材し続けてきたノンフィクション作家の中村淳彦氏と、400本以上の出演作品のある元AV女優で作家の川奈まり子氏。業界内を知り尽くしたふたりがアダルト産業のリアルと、報告書の問題点を考える。

この15年ほどでAV業界は
法的にも常識的にもクリーンになった

中村 NGO法人のヒューマンライツ・ナウ(以下HRN)が、アダルトビデオへの強制出演などの被害の実態をまとめた報告書を今年3月に公開しましたが、その内容については反発も大きいですね。特に「被害者」であるはずのAV女優からも「偏った内容」だと指摘を受けているのが印象的です。

川奈 そうですね。報告書の問題点については、私もフェイスブックで言及させてもらいました。私の知る業界の実情と、報告書から受けるイメージがあまりにもかけ離れているため、どうしても見過ごせない部分がありました。

中村 川奈さんご自身も元AV女優で、旦那さんはAV監督であり、ソフトオンデマンド社外取締役の溜池ゴロー氏。立場的にはAV業界の上層部で、当然、AV業界の事情には精通されています。川奈さんが現役で活動していたとき、強制出演の被害にあったAV女優は身近にはいなかったのですか?

川奈 私が活動していたのは1999年から2004年までで、約400本の作品に出演しましたが、そうした被害例は身近では聞きませんでしたね。実は、私自身が強制出演の被害に遭いかけて、むしろ自分が稀な例だと思っていました。

中村 確かに、川奈さんのデビュー当時は、HRNが訴えているような被害が日常的にあった印象です。法的にも常識的にもメチャクチャだった15年前だったら、あの報告書は違和感なかったと思います。川奈さんの被害は、どういった経緯だったのですか?

川奈 AV出演する前はライターとして生計を立てていたのですが、大人の掲示版で知り合ったセックスフレンドのうちのひとりに「プレイの一環としてAVに出てみない?」と誘われ、好奇心から一緒に面接を受けに行ったんです。後で知ったのですが、その男は大企業に務めるかたわら、掲示版でひっかけた女性にAVの面接を受けさせて金銭を稼いでいたんですね。私も例にもれず「AVの面接を受けたことを親にばらされたくなければ、AVに出演し続けてギャラの7割をよこせ」と脅されまして。

中村 「親にバラされたくなければ、7割よこせ」は完全な脅迫じゃないですか。プロならば、スマートに気づかれないように女性をAV出演に誘導して、こっそりと7割を搾取する。当然ですが、そのセックスフレンドは素人ですね。

川奈 はい。むしろ、私の場合はプロスカウトマンに路上で声をかけられたおかげで被害を免れたんです。素人のセフレに騙されて撮影の日にちまで決まってしまい、どうしようか悩んでいるとき、スカウトマンが声をかけてきて、思わず今までの経緯を彼に話していました。そしたら「プロダクション(AV女優のマネジメント事務所)の専属女優として登録しておけば、その男も手を引くんじゃない?」と。彼が紹介する事務所に所属したとしても、AVに出たくなければ女優側に断る権利もあるとのことだったので、登録することに決めたんです。私を脅していた男もプロダクションの社長が電話をかけるとビビって、私を脅迫することはなくなりました。

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