人口密度が最も高い中野区
カップルからオタクまで多種多様

 JRの中野駅は、新宿駅から5分足らず。副都心に近いわりには、中野区は「暮らしの場」である。

 他に、サブカルチャーの発信地として知られる「中野ブロードウェイ」もある。漫画、アニメ、ゲームなど「オタク文化」に魅了され、国内外から多くの人が訪れる。

 中野駅北口に広がる警察大学跡地には、業務、商業ビルや大学などを中心とする施設の建設が予定され、住宅都市から先端的な都市活動拠点へと変貌を遂げていきそうだ。

 この中野区には、1日あたり70.8人の人が転入してくる。そして、72.0人の人が転出していく。1日に7.7組のカップルが結婚し、1.9組が離婚する。1日に6.4人の新たな生命が誕生する。そして、6.4人がこの世を去る。

中野区――国の経済政策で人口過密地域となった「離合集散の街」

 過密都市・東京の中心となる23区にあって、中野区は最近まで人口密度が最も高いところだった(今は豊島区に若干抜かれている)。1km2当たり2万人を超える人が住む。ちなみに、23区全体の平均は1万4000人程度で、最も低い千代田区となると4000人に満たない。

 なぜ、中野区の人口が高密度になったのか。それは、“木賃ベルト地帯”の存在が大きい。「木賃(もくちん)」とは、民間家主によって経営される木造賃貸共同住宅のこと。「木賃アパート」と略称される。

 戦後、都市における低所得階層向け住宅群が、東京に木賃ベルト地帯と呼ばれる地域を形成していった。山の手通り沿線には、この木賃ベルト地帯が連なっている。山手線と環状7号線の間という言われ方もするが、まさに中野はそこに収まるのだ。