闇株新聞[2016年]
2016年6月16日公開(2016年6月16日更新)
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正体は明かしていない。
人気ブログ「闇株新聞」で「オリンパス事件」「AIJ投資顧問事件」といった経 済事件をきっかけに、信頼のおける解説でコアな読者をつかんでいる。 ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン(DPM)で有料メルマガ『闇株新聞プレミアム』を配信。
著書に『闇株新聞 the book』(ダイヤモンド社)など。

闇株新聞[2016年]

闇株新聞編集部
 

『闇株新聞』は、新聞、雑誌などの大メディアの経済記者や金融業界関係者、プロ級の個人投資家がひそかに情報源にしている。連載『週刊闇株新聞』では、ダイヤモンド社グループの有料メルマガ・DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)『闇株新聞プレミアム』で配信しているディープな闇株的考察のダイジェストや「闇から暴く相場の真実」というスタンスのもと株、為替、日本国債、世界経済の今後などについて解説していきます。

闇株新聞編集部

EU離脱を問うイギリス国民投票目前!
あの波乱相場の仕掛け人・ソロスが投資を再開闇株新聞が聞く金融相場の不気味な足音・1

雇用拡大・経済成長の減速が危惧される米国、英国のEU離脱懸念が現実となりつつある欧州、通貨下落と資金流出に歯止めがかからない中国、デフレ逆戻りの瀬戸際にある日本、etc. 各国は金融政策で景気後退を食い止めようとするも、余剰資金は株式市場に流れ込み株価は高値圏を維持している。市場に生じた歪みが徐々に膨らみギシギシと軋む。刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」は、相場の闇に鳴り響く不気味な音を聞き分けます。

ソロスを再び相場に駆り立てる大相場の予感
投資家は“その時”に向けた心の準備を

 あのジョージ・ソロスが投資の第一線に復帰したとの報が伝わってきました。伝説の「クォンタム・ファンド」を率い、1992年には英国政府の為替介入にポンド売りで対抗し、勝利した男です。

 御年85歳になったソロスは2011年に外部顧客から預かった資産を全て返却し、最近は自身と家族の資産だけを(と言っても300億ドル=3兆円以上ですが)運用していたはずでした。その彼が何かを嗅ぎ付け、腰を上げたのです。

 まず米国株の比重を減らし金(ゴールド)への投資を増やしているようです。また、人民元の空売りを仕掛けているとも噂されます。つまりは、世界の金融市場が大混乱に陥る時期が近づいていると感じているのでしょう。

 本紙は根拠薄弱な陰謀論を振り回すことを厳に謹んでおり、今回の記事もそういった類のものではありません。しかし、世界経済や金融市場にはここのところずっと「軋(き)しむ音」が聞こえおり、日に日に大きくなっています。

 それがどこから聞こえてくるのか、折れてしまった時にはどんな大混乱が起きるのか、何がそのきっかけになり、どうすれば被害を回避できるのか――を、真剣に考えておく時期に来ているような気がしています。

 ただ、即座に株や不動産が大暴落するとも考えていません。経験的にはこのような音が聞こえてからのほうが、市場が急伸することもあるからです。熱狂に踊らされ過大な資金を投じたり、大混乱に遭ってパニックに陥らないよう、心の準備をしておきたいものです。

その音はどこから聞こえてくるのか!?
闇株新聞が懸念する国債利回りの低下

 本紙が最も警戒すべきと見ている兆候は「世界的な国債利回りのさらなる低下」です。ここ数年の趨勢でもありますが、国債利回りを含む長短金利水準の低下は、先週さらに加速しました。

短期金利は金融政策を、長期金利はその国の経済見通しを反映するものと本紙は考えます。そしてもっと重要なことは、長期国債利回りは実体経済に“やや先行して”反応するはずであることです。

 世界的に金融緩和が実施されていますから、市場には余剰資金が溢れています。企業は余剰資金を事業への投資ではなく株主還元に回しています。そのため国債に比べ株式の相対的な投資妙味が増し、これから株価を押し上げる可能性があります。

参考:円高、株主還元につられた株高へ 雇用統計ショック以降の世界の株と為替はどうなる?(2016年6月10日公開記事)

 しかし、長期国債利回りに見られるように世界的に経済は減退傾向にありますから、事業の成長や収益増には期待できません。にもかかわらず投資資金が注ぎ込まれ株価が押し上げられるならば、それは正真正銘のバブルです。

 バブルだと懸念する市場参加者がいる限り、それは簡単には弾けません。何らかの外的要因で下落しても比較的短期間で値を戻し、そのことが安心感につながりさらに買いを集めてバブルが膨らんでいく構図です。今はまだその始まりの段階と言えましょう。

下げ止まらぬ人民元は中国経済崩壊の予兆か
英国がEU離脱を決めたら世界不況に陥るか!?

 世間では「中国経済の崩壊」と「英国のEU離脱」に警戒する声が多く聞かれます。実際はどうなのでしょう。

 中国経済については人民元が一時1ドル=6.59元あたりまで下落していました。大幅下落が始まった2015年8月が同6.11元でしたから「下落が止まらない」とは言えその角度は緩やかであり、たかだか7.5%です。

 また中国の外貨準備は2014年6月の3兆9900億ドルをピークに、(人民元が大幅下落する直前の)2015年7月でも3兆6500億ドルありました。それが本年5月には3兆1900億ドルまで減っています。

 中国の経常収支は2015年も2016年も3000億ドルに近い黒字であり、差し引きでは巨額の外貨が中国から流出していることになります。しかし、海外企業は直接投資を減らしているとはいえ、中国への投資を引き上げているわけではありません。流出する外貨の大半は厳しい為替管理を潜り抜けた中国人の対外投資あるいは資金逃避となります。

 つまり、最近の人民元の水準は貿易収支など経済活動においては「かなり割安」なのは間違いなく、中国人の投資感覚で先安観があるに過ぎません。さらに言えば、膨大な過剰設備や国営銀行が不良債権を抱えているといった懸念も「中国の国内問題」に過ぎません。

 中国は他の新興国のように外貨建て債務が大きいわけでもなく、何と言っても共産党一党独裁の国ですから、経済・金融政策も(それが正しいかどうかはさておき)中央政府からの指令が徹底されるはずで、すぐに経済あるいは金融危機を引き起こすとは思えません。

 それでは、英国のEU離脱問題はどうでしょう。6月23日に迫った国民投票を前に、現在は離脱派の勢いが増しており、13日の世論調査(ICM)では離脱支持53%:残留支持47%との結果が出ました。これを受けて金融市場では英ポンドが乱高下するなど緊張が高まっています。

 市場では「もし本当に英国のEU離脱が決まってしまったら世界恐慌になる」との声も聞かれますが、本紙は「離脱にせよ残留にせよ英国の国内問題であり、ユーロ圏を含む世界経済への影響は一時的・限定的であるはず」と見ています。


来週の『週刊 闇株新聞』は、英国のEU離脱/残留が経済・金融市場に及ぼす影響と、それよりもっと大きな「軋む音」について、引き続き掘り下げて解説していく予定です。なお、経済のプロも愛読する刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』ではこの問題について、より早く・より濃く・より詳しく、議論を展開しています。興味のある方はぜひお読みいただければ幸いです。
 

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