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生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

生活保護の障害者、月9万5000円支給でも困窮する理由

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【第52回】 2016年6月17日
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2016年5月末、社保審・生活保護基準部会が再開された。厚労省はまもなく、生活保護法を再度改正するための委員会も設置する予定のようだ。本人にとっての「生活保護での暮らし」とは、障害基礎年金・障害者加算のある障害者にとって、どのようなものだろうか?

生活保護の障害者を苦しめる
年金の「まとめ支給」

なぜ「まとめ支給」で生活が逼迫するのでしょうか?

 千葉県の県営住宅に住む馬場寿一さん(54歳)は、県営住宅で生活保護を利用して単身生活している精神障害者だ。かつては両親と2歳下の弟との4人暮らしだったが、聴覚障害者であった父親が病死し、ついで一家の生活を肉体労働で支えていた弟が難病に罹患した。弟の発病による失職以後、一家は生活保護を生計の糧とすることになった。肢体不自由の母親と馬場さんの2人は障害基礎年金の支給対象となっているが、2人分の年金では、医療費を含めて一家3人の生活を成り立たせることは不可能だった。

 母親はその後、加齢に伴い、階段のある県営住宅で生活することが困難になったため、施設に入所した。数年後、母親は施設から戻る見込みがなくなり、2014年に世帯分離されることになった。数ヵ月後の2015年1月、弟は病気が進行して他界。馬場さんにとっては、世帯に入ってくる生活保護費が、3人世帯分→3人世帯分(1人は施設入所)→2人世帯分→1人世帯分 と減少し、したがって家計のやりくりが困難になることを意味した。弟を失った後の馬場さんの経済面での苦難は、本連載第36回で紹介したとおりだ。

 その馬場さんに、その後の様子を聞かせていただいた。今、一番困っていることは?

 「収入の、月ごとの『ガタガタ』です」

 馬場さんの生活の糧は、100%が生活保護というわけではない。前述のとおり、精神障害により、障害基礎年金を受給している。2級の馬場さんの場合、年金は偶数月の15日に2ヵ月分がまとめて支給され、金額は約13万円だ。

 「このガタガタが、とても響くんです。なんとかしたいです」(馬場さん)

 児童扶養手当で問題となっている「まとめ支給」の問題だ。「まとめ支給」が深刻な貧困を引き起こしやすいことは、本連載第35回でも紹介した。物心ついて以後、生活歴のすべてが貧困と障害者差別の中にあった馬場さんも、同様に「まとめ支給」に苦しんでいる。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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