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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

日本企業は海外の後追いをやめない限り勝機はない

齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]
【第22回】 2016年6月30日
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「世界最大の小売業」はなに?

 皆さん、お久しぶりです。約4ヵ月お休みをいただいていましたが、この間、国際会議に出るための海外出張やIoT、サイバーセキュリティなどをテーマに活動を続けてきました。今回は連載再開の第一弾として、最近、講演で来場者にウケがいい話から紹介しましょう。

 私はよく講演の初めにこんな質問を投げかけます。「世界で一番大きな広告代理店を知っていますか?」。あなたはどこかわかりますか? 答えはフェイスブックですが、実は驚くことにフェイスブックが作った広告なんて1つもありません。

 来場者の皆さんは、恥ずかしがりやなので最初はなかなか答えてくれませんが、私はかまわず、「世界で一番大きい会社は?」といろいろな業界について質問を投げかけます。映画会社なら動画共有サービスを手がけるYouTubeですが、売り上げは業界トップながら、やはり映画を制作したことはありません。

 タクシー会社なら、配車サービスのウーバーテクノロジーズ。ここもタクシーを1台も持っていません。

 ホテル会社のトップは、ヒルトンとハイアットを足した以上の売り上げを稼ぎ出すエアビーアンドビー(Airbnb)。自宅の空きスペースを旅行者などに貸し出すウェブサービスを展開していますが、自社では不動産施設を1つも所有していません。

 「では最後に、世界で一番大きな小売店はどこでしょうか?」このあたりになると、チラホラ手をあげる人が出てきて、「アマゾン?」と答えます。でも、答えはノーです。

 正解は中国のアリババ・グループ。しかもここはアマゾンとは違い、自社で商品在庫を1つも持っていないのです。

 何が言いたいのか、もうおわかりだと思います。そう、これらの会社に共通するのは「資産や在庫を1つも持っていない」ことです。そして、いずれの会社もわずか数年で業界地図を塗り替え、大成功を収めています。

 すべて海外の企業ですが、なぜ日本ではこうした新たな視点でビジネスを創り出す企業が生まれなかったのでしょうか。この間、日本が政情不安だったり恐慌だったり、規制がジャマしていたわけではない。インフラも整い、企業の資金も豊富で、いくらでもチャンスはあったはずなのに。

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齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]

さいとう・ウィリアム・ひろゆき
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部卒業。高校時代に起業し、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年に会社をマイクロソフトに売却してからは日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。有望なスタートアップ企業を育成している。12年には、総理大臣直属の国家戦略会議で委員を拝命し、国会事故調査委員会では最高技術責任者を務めた。また13年12月より内閣府本府参与に任命されている。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2011」選出。2015年6月より、パロアルトネットワークス合同会社副会長に就任。著書に『ザ・チーム』(日経BP社)、『その考え方は、「世界標準」ですか?』(大和書房)。

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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

歴史的に、世界に挑むチャレンジ精神は本来、日本人が持っていた気質。しかし今の時代、日本のお家芸“ものづくり”だけでは新興国に負けるのは火を見るよりも明らかだ。成長へと反転攻勢に転じるために必要なものは何か――。それは革新的なイノベーションを起こすための「世界標準の思考」に他ならない。気鋭の起業家であり、技術者である筆者が、日本が再び世界をリードしていく道はなにかを説く。

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