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トンデモ人事部が会社を壊す

キャリア形成に興味がない新入社員を、さらにダメにする人事部の罪

山口 博
【第47回】 2016年6月28日
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キャリア形成や能力開発を望まない割合が史上最多…今年の新入社員について、衝撃的な調査結果が発表された。学校教育でヤル気を減らした彼らは、新入社員研修でさらにヤル気をそがれているのではないだろうか。

新入社員たちは能力開発したくない!?
仰天の調査結果が判明

 2016年の新入社員は、夜間飛行(深夜残業)や目視外飛行が規制されており、ルールを守った運用や使用者の技量が必要な「ドローン型」と、日本生産性本部発表により命名されている。

ヤル気の低い新入社員たちは、人事部研修でさらにヤル気をそがれるという悪循環に!

 そして、同本部がこのほど発表した「ドローン型」新入社員の意識調査結果に、私は強い衝撃を覚えた。自分のキャリアや専門能力が高められる職場を好む社員の割合が、過去27年で最も低い結果となったのだ。能力評価を望む社員も最低の割合だ。それだけでなく、良心に反する指示のとおり行動する社員の割合は過去最高だというのだ。

 この意識調査は、同本部主催の新入社員研修参加者に対して実施されたという。入社した所属企業で一定期間の研修や行事を終えて、同本部の研修に参加したのだろう。まさにこれから、ビジネスパーソンとしてのキャリアを形成し始め、専門能力を高め始めるスタート地点ではないか。

 普通に考えれば、これから輝かしい未来に向かって、最も気持ちが高まるはずのタイミングである。にもかかわらず、キャリアや専門能力を高める気持ちはない、能力で評価してもらいたくない、良心に反することでも従うという。そこには、プロ意識のかけらも感じることができない。

 この話を人事部長仲間にすると、「まあまあ、入社したばかりですから、プロ意識を求めるのは酷でしょう」という意味の反応があったが、私はその考えに全く同意できない。入社してすぐに高いキャリアを実現したり、専門能力を発揮したりしろと言っているのではない。しかし、キャリアを高めたり、専門能力を発揮したいと思う気持ちは十全に持っていて当たり前でないか。

 プロ野球に入団した新人選手が「これから活躍して、華々しいキャリアを築きたいとは思わない」と言ったら、おかしいだろう。ピアニストが「技能を高めるつもりはない」と考えていたら、職を変えろと言いたくなるだろう。ビジネスパーソンと、プロ野球選手やピアニストはそのまま比べられないものの、程度の差こそあれ、プロなのだから同じではないのか。しかし、同じプロであるにもかかわらず、ビジネスパーソンだけが、キャリア形成や専門能力向上の意欲を低下させているという、トンデモな事態が発生しているのだ。

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山口 博

やまぐち・ひろし/慶應義塾大学法学部政治学科卒(サンパウロ大学法学部留学)、長野県上田市出身。国内大手保険会社課長、外資系金融保険会社トレーニング・シニア・マネジャー、外資系IT人材開発部長、外資系企業数社の人事部長、人事本部長歴任後、現在、コンサルティング会社のディレクター。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日本ナレッジ・マネジメント学会会員。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。

 


トンデモ人事部が会社を壊す

サラリーマンの会社人生のカギを握る人事部。しかし近年、人事部軽視の風潮が広まった結果、トンデモ人事部が続々と誕生している。あっと驚く事例をひもときながら、トンデモ人事部の特徴や、経営陣がすべき対処法などを探っていく。

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