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JAPANなニュース 英語メディアが伝える日本

「ボクたちやっぱり日本みたいになるのかな」と政治面でも心配する欧州

加藤祐子 [gooニュース編集者、コラムニスト・翻訳家]
【第15回】 2010年9月15日
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英語メディアが伝える「JAPAN」なニュースをご紹介するこのコラム、今週は本当なら日本の総理大臣について書きたいのですが、掲載されるころにはすでに民主党代表選の結果が判明しているので、13日現在で何を書いても間抜けな感じになってしまうはず。なので政局とは無関係に、英語メディアで相変わらず目にする「どうしよう、ボクたちやっぱり日本みたいになるのかな」(意訳)的な論調についてです。警鐘ともボヤキともとれるこの物言いは、今回は「失われた10年」についてではなく、戦後日本には失われるどころか最初からなかったと思う国際政治における影響力についてです。(gooニュース 加藤祐子)

日本に必要なのは誰

 その前に民主党代表選については、米『ニューヨーク・タイムズ』紙に11日、「そういう小沢氏こそ日本が必要としている実力者なのではないだろうかという意見もある」という持って回った調子の記事が掲載されたことだけご紹介します。

 マーティン・ファクラー東京特派員いわく、小沢氏には色々と毀誉褒貶があり、「菅か小沢か」で世論も専門家も民主党関係者も割れており、「昔ながらの密室駆け引きを得意とし、常に顔をしかめているように見える小沢氏」には小泉純一郎元首相のようなカリスマ性はないのだが、小沢氏は「門外漢には不可解な日本政治の世界を熟知している」し、「最近の日本のリーダーたちに欠けていた決断力も示してきた」という調子です。

 記事は、小沢氏が自民党政治の悪しき伝統を引きずっているという批判があることも指摘した上で、その履歴を詳しく紹介し、「もし勝てば、日本にとって不可欠な米政府との安全保障関係をどうするのかが、課題の一つとなる」と指摘。「小沢氏は、アメリカに自己主張し海外でより積極的な役割を担う『普通の国』に日本はなるべきだと主張してきた。しかし小沢氏をよく知る人たちは、彼の真の目的はアメリカ政府に挑戦することではなく、中央官庁の強力な官僚たちに戦いを挑むことなのだと言う」と解説しています。

 この記事を読む限り、少なくともファクラー記者は「小沢首相」の誕生を見てみたいと思っているのかな?——と、そう思わせられる記事でした(ちなみに先週ご紹介したように同紙は6日、「日本の指導者がメリーゴーラウンドのようにくるくる入れ替わるのはよろしくない」と社説で書いていました)。

日本のようになっては困る?

 その一方で、日本の政局とは何の関係もないところで、これまでもたびたびご紹介
してきた「日本みたいになってしまうぞ」的な論説をまた目にしました。ただし、これまでの多くは「日本の失われた10年みたいにいつ終わるとも知れない長期の景気停滞に陥るぞ」という内容でしたが、今回はその発展形とでも言いましょうか、「このままだと日本みたいに、国際政治の世界でirrelevant(無意味、無関係、重要性のない、影の薄い)な存在になってしまうぞ」という意見です。

 英『フィナンシャル・タイムズ』紙のコラムニストでもあるフィリップ・スティーヴンズ副編集長は9日付コラムで、「欧州は日本的に影の薄い存在になりつつある(Europe heads for Japanese irrelevance)」と書いています。スティーヴンズ氏は主に英国や国際政治の専門家で、これまでも何度か日米関係や日欧関係について書いてきました。そのスティーヴンズ氏の署名で前述のような見出しだったので、「おっ、今度は日本がどうダメだと書いてるのかな」と読み始めたところ、日本について触れているのは一段落だけでした。いわく、国際関係の主立った専門家が集う会議で話題の中心となるのはもっぱら中国で、中国がいつアメリカを追い抜くかが最大の関心事なのだと。そしてそういう場では「欧州は傍観者に過ぎないという印象は紛れもない。これが欧州にとっての問題なのだ」と。

 「同じような話としてすぐに思い浮かぶのは、国際舞台における日本の不在だ。世界ランキングで最近になって中国に追い越されたとは言え、日本は依然として経済大国だ。しかし世界情勢の議論においてはもう長いこと、日本の姿がほとんど見えない。日本は変化を起こす側ではなく、変化を受けとめる側の役を、従順に受け入れてきた」

ゆえに「世界の新秩序、あるいは無秩序をこれから形作っていく主要プレイヤーはアメリカと中国になるのだろう」と言う筆者は、「欧州連合(EU)の弱体化」を次々と批判し、EUのみならず個別の欧州各国も世界プレイヤーとしては力不足だと書きます。「フランスは決して世界の大国であるフリを止めたりはしないが」サルコジ大統領がぶちあげる壮大な世界戦略に聞く耳をもつ者は減っていると。イギリスの新政権は国内問題にしか関心がない様子だし、ドイツがかつて大国の真似をしようとした時はとんでもない経験に終わったと。

 「経済力は大事だが(中略)力を外に向けて発揮して、地政学の地図上を居丈高にのしのし歩き回るのとは、まったく別の話だ」とスティーヴンズ氏はドイツについてこう書いています。そして欧州全体についても、問題は色々あるけれども社会や政治は機能しているし、住民1人あたりの所得は中国の10倍だと。つまり欧州は「小国」として機能し、「小国」なりの影響力を発揮しているのだと。

これは確かに、国内総生産(GDP)が中国に追い抜かれたと言っても国民1人あたりの所得は中国よりも高いし、社会は(世界全体と比べれば比較的)安定し、国民の自由も(比較的)保障されている日本の状況とよく似ています。「1位でなくてはダメなんですか?」ではありませんが、下手に大国を目指して世界中のあちこちで戦争をしているような国になる必要はないのでは?と私なぞは思います。

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加藤祐子 [gooニュース編集者、コラムニスト・翻訳家]

1965年東京生まれ。小学校時代を米ニューヨークで過ごす。英オックスフォード大学修士号取得(国際関係論)。全国紙社会部と経済部、国際機関本部、CNN日本語版サイト編集者(米大統領選担当)を経て、現職。2008年米大統領選をウオッチするコラム執筆。09年4月に「ニュースな英語」コラム開始。訳書に「策謀家チェイニー 副大統領が創った『ブッシュのアメリカ』」。

 


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