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今週もナナメに考えた 鈴木貴博

スバルへの社名変更が富士重工にとって正しい理由

鈴木貴博 [百年コンサルティング代表]
【第21回】 2016年7月1日
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Photo by Akira Yamamoto

 自動車メーカーの富士重工業(以下、富士重工)の株主総会で、2017年4月1日に社名を株式会社SUBARU(スバル)に変更することが正式決定された。しかし富士重工ぐらい歴史も知名度もある会社が社名変更をする意味はどこにあるのだろう?今回はそれを整理しよう。

自動車メーカーで唯一、
“ジレンマ”を抱えていたスバル

 一般に社名変更にはいくつかのメリットがある。ひとつは古くさいイメージの社名を横文字の社名にすることで、若い人たち、とくにリクルーティングでのイメージをアップさせるというアイデア。この考え方で社名を変更する会社は結構多い。

 社名と本業が時代の変化で合致しなくなってきたという場合もある。鐘淵紡績がカネボウに社名を変更したのは、事業が紡績からアパレル、食品、化粧品、製薬などさまざまな分野へと事業ドメインが広がったからで、このような事例も大企業には多い。

 それらの事例と少し異なるのが、今回の富士重工の事例だ。富士重工の社名変更の最大の誘因というかメリットは、商品ブランドと社名を一致させることだ。

 富士重工は日本の自動車メーカーで唯一、会社名とブランド名が異なっている自動車会社だ。トヨタ、日産、ホンダ、三菱、マツダ、スズキという具合で他社は基本的に会社名がブランドとして通用する。

 細かく言えばホンダの場合、本田技研工業が社名でホンダがブランド名ではあるが、カタカナのホンダは通称や証券取引所の表示名になっているので、社名とブランド名が違うという消費者イメージにはならない。

 ところが富士重工の場合はテレビコマーシャルで自動車を宣伝しようとするとSUBARUで宣伝することになる一方で、たとえばリクルーティングで学生を採用しようとすると「富士重工って何の会社?」「自動車のスバルです」というように改めて別の宣伝をする必要が出てくる。

 中でも富士重工の場合、一番大きな問題となるのが資金調達、つまりIRでの二度手間だ。

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鈴木貴博 [百年コンサルティング代表]

30年のキャリアを誇る経営戦略コンサルタント。情報分析や業界分析に強く、未来予測やイノベーション分野が得意領域。一方で雑学にも強く、経済エンタテナーとして各方面に寄稿。経済クイズ本『戦略思考トレーニング』シリーズは20万部を超えるベストセラー。マスコミ関係者の地下クイズ集団『夜会』のメンバーとしても活躍。


今週もナナメに考えた 鈴木貴博

経済誌をにぎわすニュースや日常的な経済への疑問。そのときどきのトピックスについて経済の専門知識を縦軸に、社会常識を横軸において、ナナメにその意味を考えてみる。

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