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生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

「貧困対策」主要政党のスタンスを参院選前に確認する

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【第54回】 2016年7月1日
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2016年7月10日に行われる参院選の選挙戦が始まっているが、貧困問題は主要な争点とは考えられていない。貧困の拡大に対する各政党のホンネは、どこにあるのだろうか?

公約には全く記述なし
自民党の生活保護政策の中身

参院選前に各党の貧困対策へのスタンスを確認したい

 2016年7月10日の参院選が6月22日に公示され、本記事を執筆している2016年6月30日は、選挙戦がたけなわである。しかし、公約を比較すると、社会保障や生活保護については大きな差が見受けられず、「当たり障りない」あるいは「どうにでも取れる」文言が多い。

 たとえば、自民党の今回の公約を見てみると、なんと生活保護に関する記述が全くないのだ。ただし、2016年6月20日に発行されたばかりの「総合政策集2016 Jファイル」には、

 「291 生活保護制度、生活困窮者自立支援制度
 生活保護制度については、真に必要な人に生活保護が行き渡るとともに、国民の信頼と安心感を取り戻し、納税者の理解の得られる構成な制度に改善します。」

 と、生活保護に関する言及がある。相変わらずといえば相変わらず、むしろ「自民党にしては、ずいぶんおとなしい」と感じるくらいだ。

 続くくだりを読むと「自助努力による生計の維持ができない者に対する措置ということを原点」「就労による自立促進」「健康や生活面等に着目した支援」などの文言が並ぶ。つまり「本人の」自己責任とし、その自己責任の「本人を」支援といいながら指導(いっそ「支配」というべきか)すれば解決するであろうという毎度の話が、同じように繰り返されているわけだ。

 この繰り返しの始まりは、生活保護法新法が成立した1950年からわずか4年後、1954年、大蔵省(当時)の意図を汲んだ厚生省(当時)が「適正化」の名の下に生活保護の利用抑制に踏み切らざるを得なくなった時期にある。以後、現在まで、「自己責任」で生活困窮に陥った本人、さらに「暴力団」「怠け者」「外国人」「家族としての扶養責任を果たさない人」など分かりやすい「悪者」を仕立てあげ、メディアのキャンペーンを並行させての生活保護バッシングが断続的に繰り返されてきている。

 松任谷由実の歌詞を借りれば「リフレインが叫んでる」。生活保護と生活困窮者支援に関し、今回の自民党の公約に、目新しい要素は見当たらない。2012年末に第2次安倍内閣が成立して以後の削減路線を踏襲する心づもりなのだろうか? そうであれば、生活保護政策という一点ゆえに、私は自民党を支持するわけにいかない。

 LPレコードがCDに置き換えられる以前、レコードの盤面の傷が原因で、延々と同じ箇所が再生され続けることがあった。今回の公約での生活保護政策・生活困窮者支援政策のリフレインは、次回選挙以後、消えてほしいものである。自民党が、長年の政権党としての実績と人材の層の厚さを活かせば、生活保護を必要とする人々にとっての現在と近未来の生活の質を一定以上に担保することを、いわゆる「納税者の納得」と両立させることも可能なはずだ。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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