そんな中で劇的な出合いを果たしたのが、山田太一の脚本「早春スケッチブック」に登場する台詞だ。この台詞では、体裁のいい仕事に就いて家族を作り、平和な暮らしをするという、多くの人が人生の目的としていることを「くだらない」と切り捨てている。この台詞を知ったとき、著者が信じ切っていた「平和な暮らしこそが幸せ」という価値観が、根底から崩れ去った。それと同時に、自らのゲーム理論に引き寄せてこう思ったという。「ゲームにせよ小説や映画にせよ、今後の展開が読めないからこそ面白いのだ」。

 面白い人生を送りたいなら、不安定な状況をネガティブにとらえず、むしろ「刺激的だ」と思って楽しむしかない。

◇見栄や世間体はさっさと捨てろ

「上手くいかなくなったら、周囲から白い目で見られるのではないか」と考え、失敗を恐れる人は少なくないだろう。ゲームでは、どんなに失敗しようと、自分以外にその様子を見ている人間は誰もいない。では、人生ではどうだろう。著者は独立後、数々の失敗を重ねてきたが、失敗の回数を数えている人はひとりもいなかった。誰もが、自分のことで手一杯であり、他人に意識を向ける余裕などないのだ。

 著者が「見栄や世間体」から解放されたのは、それらが過剰な自意識によって生みだされた幻想でしかないと気づいたからである。あるはずもないものの存在に怯え、失敗を恐れるあまり行動を起こさないのは実にもったいない。

 結局のところ、寿命が尽きれば人間はこの世から消滅する。それなら、見栄や世間体を気にせず、のびのびと楽しく生きるほうがよい。「旅の恥は掻き捨て」と言うが、人生の恥も掻き捨てなのだ。

■【必読ポイント!】
■人生というゲームを楽しむために
◇アイディアを生み出すにはヒント探しに注力せよ

 著者は独立後、1000本ノックのようにアイディアを出しては、その中から最良と思えるものを選ぼうと考えていた。しかし、アイディアはそうたやすく生まれるものではなく、すぐに行き詰まってしまった。