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実例で知る! 他人事ではない「男の離婚」 露木幸彦

浪費妻が離婚で財産の半分を要求!
倹約家の夫が貯金を守れたワケ(下)

露木幸彦 [露木行政書士事務所代表]
【第33回】 2016年7月9日
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>>(上)より続く

 もともと純一さんは夫名義の財産は夫のもの、妻名義の財産は妻のものという具合に、あえて財産分与(離婚時に財産を分け合う)を行わないことを望んでいました。私は4つの切り口を用意し、純一さんに授けました。

 まず1つ目ですが「財産形成への貢献度」です。純一さんは妻に対して「貢献」という目に見えない部分に焦点を当てて、こんなふうに投げかけたのです。

 「僕の貯金に久美子がどのくらい貢献したのか、僕には良く分からないよ。でも、それは逆だって同じことでしょ。久美子の貯金に僕がどのくらい貢献したのか、僕だって何とも言えないよ。(妻には貯金がないことを知りつつも、あえて指摘せずに)久美子は貢献していて、僕は貢献していないというのは、おかしいじゃないか?」と。

 次に2つ目ですが「金銭感覚の違い」です。まだ妻の浪費癖が明らかになったわけではないので、「仮に」という前提で、純一さんはこうやって夫婦間の違いに言及したのです。「夫婦の金銭感覚がぴったり一緒なんてことはあり得ないでしょ?僕は年収の1割以上、貯蓄に回しているけれど、久美子に同じことを押し付けるつもりもないし、お互い干渉しない約束で今までやってきたじゃないか」と。

 そして3つ目ですが「財産の不開示」です。夫婦が共働きの場合、夫が妻の、妻は夫の財産の全容を把握しないケースが大半で、純一さん夫婦も例外ではありません。純一さんはこんなふうに妻の「痛いところ」を突こうとしたのです。

 「離婚するからといって、今まで知られないようにしてきた財産の中身を明らかにしなければならないのは、苦痛以外の何物でもないでしょ?僕だけじゃなく、久美子だって同じじゃないかな。『なぜ、これしか残っていないの?』『他に隠しているのでは?』『家を出て行く前に使ってしまったに違いない!』僕は久美子にそんなことを言われたくないし、僕だって言いたくはないよ」

お互いに詮索しないことで
円満離婚へ

 そうやって純一さんは「一度、疑い始めると収拾がつかなくなり、出口は見えなくなること」を強調して、むしろ財産分与「しないこと」が妻のためなのだと説き伏せようとしたのです。なぜなら、妻は自分だけ金遣いが荒く、貯金しておらず、お金がないという秘密を隠し通した上で、しかも早く解決し、苦痛から解放されるのだから。

 最後に4つ目ですが「お金の使い道」です。妻にとっての秘密事項は「現時点の残高」だけでなく、結婚から別居までの間、何にいくら使ったのか……具体的な使途も同じくらい隠し通したいはず。なぜなら、1つ1つの使い道が本当に必要不可欠なのか、ぜいたくではないか、もっと節約できたのはないかなどと、今さら夫に指摘されるのは耐え難い苦痛に違いありません。例えば、ミシュランで星を獲得した高級店で優雅にランチを満喫した、豪華客船に乗って伊勢神宮で停泊する憧れのプランに申し込んだ、1年分のエステのチケットを買い込んだ、などとは口が裂けても言えないでしょう。

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露木幸彦[露木行政書士事務所代表]

つゆき・ゆきひこ/行政書士、フィナンシャルプランナー。1980年生まれ。国学院大学卒。男性の離婚相談に特化した行政書士事務所を開業し、開業から6年間で有料相談件数7000件、法律文書作成900件を達成。公式サイトは1日訪問者3300人、会員数は1万3000人と、業界では最大規模にまで成長させる。2008年よりドコモ、au、ソフトバンクの公式サイトで法律監修を担当。四半期に一度、大相談会を開催している。主な著書に『結婚貧乏~結婚してはいけない人を避ける方法』(中央公論新社)、『離婚のことばハンドブック~今すぐ解決したい人のキーワード152』(小学館)、『男のための最強離婚術』『男の離婚 賢く有利に別れるための6つの成功法則』(共にメタモル出版)などがある


実例で知る! 他人事ではない「男の離婚」 露木幸彦

昨今の離婚事情は複雑化している。夫が借金、浮気、暴力を繰り返して妻に愛想を尽かされるという「昭和型離婚」ばかりでなく、足もとでは「草食系離婚」も急増している。妻が多重債務、不倫、ヒステリーなどを繰り返し、真面目で優しい夫がそれに絶えられなくなって離婚を決意するというパターンだ。そうしたなか、離婚トラブルで悩み悶える男性が増えている。一度離婚トラブルに発展すると、男性は多くの精神的・物理的な負担を強いられる。到底納得できない理不尽な離婚トラブルに意図せず巻き込まれた場合に備えて、普段から対処法を考えておくことは必要だ。「男性の離婚相談」に特化し、数多くの相談実績を誇る行政書士の露木幸彦氏が、毎回実例を挙げながら、男性が陥り易い離婚トラブルへの対処法を指南する。読まずに泣くか、読んで笑うか――。現在離婚トラブルで悩んでいる人もそうでない人も、「他人事ではない男の離婚」について考えるための参考にしてほしい。

「実例で知る! 他人事ではない「男の離婚」 露木幸彦」

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