Brexitは究極のポンド安誘導
日本以外は居心地よい「円の独歩高」

 年初来、急速な円高が進み、6月は100円台前半にまで達し円売り為替介入論も生じた。さらに、6月後半には英のEU離脱(Brexit)で一時100円割れの円高となった。筆者が円ドルの為替市場について長らくストーリーラインとしてきたのは、「達磨さんが転んだ」に例え、市場のトレンド転換は常に「鬼」である米国サイドに因るとした(4月20日付け本コラム参照)。

英EU離脱による通貨戦争で最大の被害者は日本だ

 2月以降、実際に「達磨さんが転んだ」として米国の為替政策はドル安に転じたとした。しかも、今回Brexitが加わり、円の独歩高になった。今回のBrexitは事実上、究極のポンド安誘導の通貨戦争の様相を呈している。そのなかで、日本は通貨戦争の敗者になり、皮肉にもBrexitで最大の被害者は距離的には最も遠い極東の日本になった可能性がある。

 本論での問題意識は、こうした円の独歩高環境を、日本以外の国々は「居心地よい」と思っている可能性が強いことにある。

 下の図表1は主要5通貨の為替動向である。

◆図表1 主要5通貨の為替動向