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英EU離脱で世界の混乱はこれからだ

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第435回】 2016年7月5日
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EU離脱の国民投票以降
政治への不透明感が高まる

EUと英国の離脱交渉がどのように進むかは不透明だ

 6月23日の国民投票で英国のEU(欧州連合)離脱が決まって以降、英国、欧州の政治に対する不透明感が高まっている。英国やEU諸国、わが国の参院選挙や米国の大統領選挙など、今後、主要国の政治イベントが目白押しだ。

 今後、世界経済の先行きを考える上で、最も重要なリスクは政治に移っている。政治情勢の不安定さが続くようだと、世界景気の足を引っ張ることにもなりかねない。

 足元で、英国の政治は混乱を深めつつある。一部の国民はEU離脱の決定を後悔し、懸念を募らせているようだ。既に350万人以上が国民投票のやり直しに署名し、ロンドンの独立を求める動きまである。

 元々、EUからの離脱か残留を決める選挙を、過半数の多数決で決すること自体がかなりのリスクを孕んでいた。それに加えて、離脱派が主張していた内容に偽りが含まれていたこともあり、国民投票の再実施を求める声は今後も高まる可能性がある。

 与党保守党の新党首選びは不透明であり、野党労働党でも党内の対立が鮮明化している。スコットランドや北アイルランドは独立、EU残留を示唆し、「大英帝国」は崩壊の危機に瀕している。

 一方、EUと英国の離脱交渉がどのように進むかは不透明だ。英国以外のEU加盟各国は、EU離脱の“ドミノ倒し”の拡大を防ごうとしている。欧州委員会(EC)の関係者、そして、ドイツ等の主張を見る限り、正式な離脱申請前に英国との交渉を進められないとしている。

 欧州委員会からも、正式な離脱交渉を早期に進めることを強く求める声が出ている。EU側から有利な条件の引き出しを狙った、英国の目論見は早々に困難な状況に直面している。

 欧州の政治動向、米中の景気減速などが同時に進む状況が発生すれば、世界経済が大きな混乱に陥りかねない。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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