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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

「英EU離脱は正しい」と株式市場は判断している

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第69回】 2016年7月7日
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多くのメディアは「イギリス国民はEU離脱を後悔している」と報じていますが、株式市場の評価は違うようです

 報道では、イギリス国民はEU離脱の決定を後悔し、国民投票のやり直しを要求していると伝えられている。

 しかし株式市場の反応は、これとまったく異なる。イギリスの株価は、離脱直後の落ち込みから回復し、現在、年初来最高値を記録している。

 他方で、大陸諸国の株価は6月前半より低い水準だ。

 これは、少なくとも経済的に見る限り、離脱はイギリス経済にとって有利で、大陸ヨーロッパに不利であることを示している。

年初来最高値を示した
イギリスの株価指数

 イギリスの株価指数(FTSE100)の動向は、図表1に示すとおりだ。EU離脱決定直後の6月24日に下落したが、すぐに回復し、現在は年初来最高値になっている。

 これは、EU離脱がイギリスの経済にとって問題をもたらすのではなく、逆にイギリス経済にとって有利な決定であったことを意味する。EUを離脱して経済的自由を取り戻すことによって、イギリス経済がさらに発展するという見通しの反映と解釈できる。

 これに対して、ドイツの株価指数(DAX)は、やはり離脱直後に下落してその後回復したが、回復力は強くない。現在の水準は、6月前半までの水準に比べると、かなり低い。

◆図表1:イギリス株価とドイツ株価の推移

 図には示していないが、フランスもドイツと似た傾向だ。

 実は、6月24日の株価指数の下落率で見ても、イギリスのFTSE100の下落率が一番低く、3.2%だった。ドイツDAXは6.8%、フランスCACは8%、そしてスペインIBEXは12.4%、イタリアMIBが12.5%もの下落率だった。

 これは、イギリスの経済が混乱し、イギリスが衰退に向かうというマスメディアの報道とは逆の傾向を示している。マーケットはイギリスのEU離脱を支持しているのだ。

 株価に見られる動向は、イギリスのEU離脱が、イギリス経済にとって有利で、大陸ヨーロッパ諸国にとって不利であることを明確に表している。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

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