東日本大震災の被災地の自治体では初めてとなる「引きこもり」実態調査が行われ、ふだん見えない長期化・高年齢化した当事者たちの存在が、データで明らかになった。
実態調査を行ったのは、NPO法人「Switch」で、委託を受けたNPO法人「地星社」が実施し、社協が協力した。調査は、昨年度の事業として行われ、このほど『岩沼市ユースチャレンジプログラム2015事業報告書』の冊子としてまとめられた。
同市は、2011年の震災で、行方不明や関連死も含めて187人の犠牲者を出し、2340棟余りの家屋が全壊・半壊の被害を受けた。
同市では、生活困窮者自立支援事業の相談窓口を市の社協が開設していたことから、被災地で就学・就労支援事業や中間就労の場づくりを続けるNPO法人「Switch」(高橋由佳理事長)と社協が連携。就労支援事業の一環として、調査を同市のNPO「地星社」(布田剛代表)に委託したという。
同社は、2015年11月、社協を通して市の民生委員73人にアンケートの調査票を配布。12月から翌年1月にかけて、民生委員30人から調査票を回収した。回収率は41%だった。
調査では、<おおむね15歳以上で、次に該当するような方を「ひきこもり等の状態にある者」>と定義し、民生委員に説明したという。
<(1)仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6ヵ月以上続けて自宅にひきこもっている状態の方>
<(2)仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流はないが、時々は買い物などで外出することもある方>
<※ただし、重度の障がい、疾病、高齢等で外出できない方を除きます>