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「ありえない組み合わせ」と言われる
JCOMとTBS 呉越同舟の舞台裏

週刊ダイヤモンド編集部
2010年10月4日
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 1年がかりの交渉だった——。

民放各社は広告収入の減少で、新たな収入源の確保が求められている(写真はTBS本社ビル)

 10月5日より、ケーブルテレビ最大手のジュピターテレコム(JCOM)は、民放キー局のTBSが製作する連続ドラマの新作を、TBSが地上波で放送する3日前にJCOM系列のケーブルテレビで独占して先行配信(有料)するという“日本初”の取り組みをスタートさせる。

 具体的には、JCOMは自社が提供する「ビデオ・オン・デマンド」(VOD。自分が見たい時に有料で見たい番組を購入できる)サービスのなかで、TBSが10月8日から毎週金曜日の深夜帯に放送する予定の連続ドラマ「クローンベイビー」(全11回)を1話210円で配信する。

 日本を代表する放送局の1つであるTBSと、国内外の放送局などが製作した番組を仕入れて販売するケーブルテレビが協業するという展開は、放送業界のあちこちから“ありえない組み合わせ”との声が上がった。

 だが、すでに海外に先行事例はある。ベルギーを拠点とする広域ケーブルテレビ事業者のTELENETは、“プレビューサービス”と銘打って既存の放送事業者(地上波)と協業するサービスを展開し、契約者の70~80%が地上波の番組の先行配信をケーブルテレビで視聴するという水準にまで育てていた。昨年6月の欧州視察時に、TELENETの幹部から説明を受けたJCOMの幹部は、この点に着目した。

 なぜなら、ケーブルテレビの全契約者に占めるVODサービスの利用率は、JCOMが10%の水準であるのに対し、TELENETは40%もあった。日本では前例がないが、もし同様の事例を日本に導入すれば、「VODの利用を伸ばす“起爆剤”になる」(中谷博之・上席執行役員)と考えたのだ。

 そして、JCOMは、民放キー局の中で「見逃し視聴」サービスなどでVODに熱心だったフジテレビとTBSに話を持ちかけた。交渉の結果、1年後にTBSと話がまとまった。そのTBSは、「今回は配信先をJCOMに限定した実験的なプロジェクトだが、先行有料配信という先駆的な試みを通じ、番組の活性化や宣伝効果の波及、さらには先行有料配信の事業性についての検証につなげたい」と、公式にはあくまで“実験”というスタンスを崩さない。

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