「幸せ食堂」繁盛記
【第三十一回】 2016年7月21日 野地秩嘉

市ケ谷に、肉好きには
たまらない飯処を発見。
青森の郷土料理もあります!

定食は、肉また肉のオンパレード

 前回、「市ヶ谷にうまい店はない」とわたしは断言した。すぐに前言を翻して申し訳ないとは思う。しかし、不明でした。謝罪します。謝罪は素早くしないといけない。初動の謝罪対応を誤ると舛添前都知事の轍を踏むことになるから……。

 で、市ヶ谷の良心とも呼べる家庭料理「はなむら」は防衛庁オフィスの至近にある。なんといっても量が多い。安い。うまい。加えて、肉料理と青森郷土料理の宝庫でもある。

 定食は640円と740円の2種類。定食の内容はおかず、たっぷりのご飯、みそ汁、漬物。640円定食には、鶏のから揚げ、豚の玉子焼き、肉ニラ炒め、ウインナー炒め、ハムカツ、ハムエッグ、ベーコンエッグ、鮭の塩焼きなどがある。

 740円定食は肉、肉、肉のオンパレードである。豚ロースみそ焼き、牛バラしょうが焼き、とんかつ、大判メンチカツ、肉ベーコン、肉ウインナー、ウインナーエッグ、ジンギスカン……。さば塩焼き、サンマの開き、アジフライといった魚のメニューも少しはある。

 店で様子を見ていると、常連が頼むメニューはいずれも肉料理だった。なかでも肉ウインナー、肉ベーコン、肉ウインナーベーコンの赤ウインナー3兄弟は人気だ。

 肉ウインナーは赤ウインナーが5本と豚の肩ロース切り身が2枚から3枚(大きさによる)。加えて大量の千切りキャベツとマヨネーズ。キャベツをマヨネーズで和え、それを肩ロースもしくは赤ウインナーと合体させて食べる。肉ベーコンは豚の肩ロースと分厚いベーコンの組み合わせだ。そして、肉ウインナベーコンともなれば、豚肉、赤ウインナー、ベーコンの3連打である。肉ウインナーベーコンだけはメニューに載っていないけれど、注文すれば出してくれる。

 また、この3つは定食でなく、単品として注文することもできる。その場合は定食の値段から200円引き。

 わたしが敢行した食べ方は次の通り。冷えた生ビール、肉ウインナベーコンを頼む。そして、半分くらい食べたら、おもむろに、とんかつ定食を注文する。ウインナー、ベーコン、豚焼き肉、とんかつという4種類の肉料理を一度に食べることができる。ビールと合わせて豚肉料理のロイヤルストレートフラッシュだ。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

野地秩嘉 1957年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。出版社勤務、美術プロデューサーなど を経て、ノンフィクション作家に。食や美術、海外文化の評論、人物ルポルタージュ など幅広く執筆。近著に、「TOKYOオリンピック物語」「イベリコ豚を買いに」「打 ち合わせの天才」「アジア古寺巡礼」「アジアで働く いまはその時だ」など。


「幸せ食堂」繁盛記

この連載は、味がよく、サービスも悪くなく、値段はリーズナブルで、しかも、できればハイサワーやホッピーを置いている店のグルメガイドだ。ここで紹介される店は、金持ちの社長やグルメ評論家はまずいない。著者は、そういう店を「勤労食堂」「国民酒場」と呼ぶ。そこでは客が微笑しながら食べている。ほほえみながら食べている人と一緒にいることは至福だ。人生の幸せは勤労食堂もしくは国民酒場にある。

「「幸せ食堂」繁盛記」

⇒バックナンバー一覧