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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

「珠三角」「長三角」に次ぐ成長エンジンを探す
中国が着目する中部の台頭と6大都市群構築構想

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第22回】 2010年10月7日
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 中国経済を語るには、「珠三角」、「長三角」という2つの言葉を避けて通れないだろう。それぞれ珠江デルタ、長江デルタを意味するこの2つの言葉は、中国経済におけるこの2つの地域の重みを語っている。

 珠江デルタは、本来はその名の通り、珠江デルタの略称として使われていた地理的な用語だ。だが現在はむしろ広州、深セン、東莞、珠海、佛山、恵州、肇慶、江門、中山など9つの市からなる経済圏を意味する経済用語になっている。

 一方、長江デルタも同じく上海を中心とした長江デルタ経済圏を指す言葉として使われている。現在は、上海、江蘇省の10都市(南京、蘇州、無錫、鎮江、常州、泰州、南通、揚州、塩城、淮安)、浙江省の9都市(杭州、寧波、紹興、湖州、舟山、嘉興、台州、金華、衢州)、安徽省2都市(合肥、馬鞍山)からなる。

 赤い文字の都市は最近認められたニューメンバーである。そこからも分かるように、これらの経済圏も勢力図の拡大に力を入れている。

 もし、中国経済を飛行機にたとえるなら、この2つの地域はその飛行機を推進させる強力なエンジンである。しかし、2発の飛行機は中距離を飛ぶ中型旅客機に過ぎない。中国政府は90年代後半から経済を4発の大型旅客機にしたいと考え始めている。だが、その3発目と4発目のエンジンの選択・育成作業はうまくいっていない。旧満州時代の工業基盤のある東北部(黒竜江省、吉林省、遼寧省)に期待をかけていたが、いまだにそこまでの力をもっていない。青島、煙台などの都市からなる山東半島は大きく成長してきたが、エンジンというほどのパワーがない。

 そうこうしているうちに、意外なところから変化が起きた。それは中部と呼ばれる地域の台頭だ。

 中部地域は、河南、安徽、湖北、湖南、江西、山西の6省からなる。上海、広州、深センなどがある東部(沿海部ともいう)、中部、新疆やチベットなどの自治区も入る西部、東北部という4大ブロックでは、経済成長率を見ると今年の上半期にトップを走っているのは中部だ。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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