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「考える」は技術
【第4回】 2016年7月29日
著者・コラム紹介バックナンバー
グル マドハヴァン,須川 綾子

ポケモンGOの大ヒットで思い出した
ジョブズとピクサーの「あの話」

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「そうそう、こんなゲームが欲しかったんだ!」
 世界じゅうからそんな声が聞こえてきそうなほどの勢いで、爆発的にヒットしているポケモンGO。日本でも上陸後すぐに社会現象となり、好き嫌いにかかわりなく、話題にしないことのほうが難しい。
 モノでもサービスでも、自分がつくったものが「これが欲しかったんだ!」という称賛の声ほど、つくり手にとって嬉しいものはない。では、そんな「見えないニーズ」を見える化してヒットするものと、そうでないものとの間には、どのような違いがあるのだろうか?実は、あのスティーブ・ジョブズが、そしてピクサーが、そのヒントを教えてくれるという。『「考える」は技術』から、紐解いてみよう。

正解は「存在すら意識させない技術」のなかに?

スティーブ・ジョブズは、技術的なアイデアが具現される形式にまつわる感性について語っている。2000年に行われた『フォーチュン』誌のインタビューで、彼はこう言った。

 「こういった事柄を語る適切な語彙はありません。ほとんどの人にとって、デザインという言葉は外観的なものを意味します。室内装飾だとか、カーテンやソファの布地のことだとか。しかし私にとって、これほどデザインという言葉から遠い存在はないのです」。彼はアイマックに内蔵されている冷却ファンを例に説明している。

 私は、冷却ファンは不要だと言いつづけました。静かなコンピューターで仕事をするほうがはるかに気持ちがいいからです。しかしそれは「スティーブに言われたから」と簡単にすむ話ではなかった。電力制御や熱伝導についてかなりの改良が必要でした。つまり、うわべのデザインの問題ではないのです。私たちの製品の中心には、はじめからそういった細部にわたる努力が宿っていました……顧客が代金を支払って私たちに求めること――それは細部までとことん突き詰めて、簡単で快適なコンピューターを提供することです。
 私たちはこの点を極めなければならない。それは顧客の意見に耳を貸さないという意味ではなく、自分たちが求めているものがまったく見たこともないものだったら、顧客はそれを表現する言葉を知らないということです。デスクトップでのビデオ編集はその最たる例です。コンピューターで映像を編集したいというリクエストは一度も受けたことがなかった。ところが誰もがそれを見て『信じられない、これは最高だ!』と言うのです。

 優れた技術というのは、直感的であることが多く、なおかつ進化するものである。理想を言うなら、存在すら意識させない技術こそが素晴らしい。近年のインタラクティブな技術は直感的な操作が特徴であるため、幼い子どもは歩くことや話すこと、読み書きを学ぶより先にフリックやピンチ、ズームのやり方を覚える。

 ヤフーCEOのマリッサ・メイヤーは、「複雑なものはすべて表面下にあります。氷山のように、みなさんが接するのはほんのわずかな表層にすぎません」と指摘する。だが重要なのは、私たちが頼りにする多くの直感的な技術はフォーカスグループから生まれたわけではないということだ(『「考える」は技術』235-236ページより抜粋)

 つまり、「ポケモンGO」という製品を提示されてはじめて、「そうだ、私は現実世界でモンスターボールを投げ、ポケモンをゲットしてみたかったんだ」と気づいたのだ。だから現在、これだけ多くの人が、「信じられない、これは最高だ!」と言ってプレイしているのだろう。
 では、どうすれば「見えないニーズ」をとらえたアイデアを生みだせるのだろう。それは、ジョブズが共同創設者でもあるピクサーから学ぶことができそうだ。

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