皮肉なこともあるものだ。

 大阪地検特捜部の検事らによる証拠捏造事件は、これまで一貫して否定されてきた検察内部の「公然の秘密」を焙り出す結果になってしまった。

 郵便割引不正事件で証拠となるフロッピーディスクを改竄した前田恒彦検事の犯した事件は、現時点で、さらに上司二人の逮捕者を出すという組織的な犯行を疑わせる内容に発展している。

 皮肉というのは、現時点で逮捕された3人の検事が、揃って検察内部の矛盾を暴露し始めたことにある。それによって、これまで否定されてきた3つの事柄が、「事実」であることがわかってしまったのだ。

 語るに落ちた彼らの証言をいったいどう考えればいいのか。

 もはやそれはブラックジョークの域に達し、笑うしかないほどである。だが、記者クラブメディアが大きく報じないので一般には知られていない。

 今回、本コラムでは、ついに暴かれた3つの「公然の秘密」を改めて検証する。

地検検事の逮捕は
最高検が作ったストーリー?

 まずは「検察ストーリー」の有無である。

 これまで、検察は「法と証拠」に照らして、起こった事件(事実)のみを捜査の対象にしてきたと豪語してきた。だが、その「嘘」はいとも簡単に破られた。

〈大坪前特捜部長と佐賀前副部長は、面会した弁護士に、「『意図的ではなく、誤って書き換えてしまった』と報告を受けた。自分たちは最高検の作ったストーリーによって逮捕された」などと話し、最高検と全面的に対決する姿勢を示しています〉(NHKニュース/10月12日

 検察が、自作のストーリーを元に捜査してきたことを、この二人の検事が認めるどころか、そのストーリーの正当性を完全否定した上で、批判の対象としているのである。

 これを笑い話と言わずしてなんといえばいいのか。