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バーバリーなき三陽商会、大リストラの苦境

週刊ダイヤモンド編集部
2016年8月2日
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昨年6月末で英バーバリー社とのライセンス契約が切れ、稼ぎ頭を失った三陽商会がいよいよ苦境に立たされている。後継ブランドの不調などで、6月24日には2016年1~6月期の営業赤字額を2.5倍に引き上げたほか、250人の希望退職者の募集を発表した。社内の一部からは経営陣の刷新を望む声まで出始めている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

 「経営陣に退任してもらわないと。とにかく10年先まで会社のことを考えてくれる若手にトップに立ってほしい」

 三陽商会のある幹部は、「当然だ」とばかりにこう言い切った。理由は明確である。昨年6月末に英バーバリー社とのライセンス契約が切れて以降、稼ぎ頭を失ったことで三陽商会は今、追い詰められているのだ。

 ライセンス契約終了に伴い、「バーバリーロンドン」は「ゴム引きコート」で有名な「マッキントッシュ ロンドン」を後継ブランドとして迎え、一から出直すことになった。しかし、結果は芳しくない。百貨店関係者によると、バーバリーロンドン時代と比べて売り上げが4~5割落ちている売り場もあるというのだ。

 「バーバリーロンドンがなくなっちゃって、どこで買えばいいのか分からなくて困ってるの」。三陽商会の社員は、知り合いと話していると、いまだにこんな相談を持ち掛けられる。要は、マッキントッシュ ロンドンがバーバリーロンドンの後継ブランドだということが世に伝わり切っていないのだ。

 商品はバーバリーで培った縫製技術を生かして生産されているが、バーバリー社とのライセンス契約が切れた時点で、三陽商会はマッキントッシュ ロンドンの広告等で「バーバリー」の名前を一切使用できなくなった。そのため、ただの新ブランドとしてしか認識されていない可能性が高い。

 試練は三陽商会が日本独自のラインとして生み出したヤング向けの元「バーバリー・ブルーレーベル」「バーバリー・ブラックレーベル」にも降り掛かっている。

SANYO GINZA TOWERを含め、7月にセールを始めた三陽商会。ある百貨店幹部によれば、マッキントッシュ ロンドンもセールは好調。だが、「普段、売れてないからいい物が残っている、というのもある」と皮肉も忘れない Photo by Mieko Arai

 バーバリーのシンボルであるホースマークを失った上にブランド名から「バーバリー」を奪われ、「ブルーレーベル・クレストブリッジ」「ブラックレーベル・クレストブリッジ」として“再出発”することになった。が、顧客は甘くなかった。売り上げはバーバリーの名前を冠していたときと比べて4月時点で良くて6掛け、悪いと5掛け弱だとされ、まさにのっぴきならない状況に追い込まれているのである。

 実に30年ぶりに売上高が1000億円の大台を割った2015年12月期に続き、16年1~6月期の店頭販売額は前年同期比61%まで落ち込んでいる。6月24日には1~6月期の営業赤字額の見通しを22億円から55億円に引き上げると同時に、複数ブランドの中止と、従業員の20%弱に当たる250人の希望退職者の募集を発表した。

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