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一流の睡眠
【第1回】 2016年8月4日
著者・コラム紹介バックナンバー
裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]

「8時間睡眠」って誰が実行してるの?
医師×MBAが教える「現実的な」快眠戦略

睡眠の悩みを解消するための情報は、これまでにも、さまざまなメディアでたくさん紹介されてきました。でも……。

・8時間眠りなさい
・できれば「22時」に眠りなさい
・規則正しく栄養管理の行き届いた食事を摂りなさい
・睡眠時間を確保することから1日をスケジューリングしなさい

「……いやいや、そんなの無理だから! 」

そう思ったことはありませんか?

いわゆる「睡眠の常識」と、ビジネスパーソンの実態はかけ離れているのです。そこで本連載では、医師とビジネスパーソン両方の視点と経験を併せ持つ著者が、新刊『一流の睡眠』から、現実的かつ具体的な「睡眠問題解決法」を教えます。

第1回は、すべての「一流の睡眠メソッド」の基本になる考え方を紹介します。


・毎日熟睡して疲れを吹き飛ばし、朝は5秒でシャキッと目覚める。
・日中、眠気と戦うこともなく夜までフルスロットルでバリバリ仕事する。
・帰宅して風呂から上がりベッドに入ったら即「寝落ち」して、気づいたら朝になっている。
・疲れ知らずの不眠知らずで、常に高いパフォーマンスを維持し続ける。

 そんな毎日はビジネスパーソンの究極の理想形かもしれません。しかし、実際にそんな生活ができている人が、どれだけいるでしょうか。少なくとも私が、医師として、外来に訪れるたくさんのビジネスパーソンに「よく眠れていますか?」と質問すると、多くの人から返ってくるのは次のような答えです。

「寝不足で疲れがとれず朝から気だるい」
「日中、眠気がつきまとって仕事に集中できない」
「ベッドに入ってもしばらく眠れない」
「たくさん寝たのに熟睡感がない」


 実際、日本のビジネスパーソンの3人に1人が、このような睡眠に関する悩みを抱えていると言われています。

 睡眠の悩みを解消するための情報は、これまでにも、書籍やインターネット上でたくさん提供されてきました。

「睡眠時間は8時間がベスト」
「睡眠のゴールデンタイムである22時~2時に眠ると体に良い」
「規則正しく栄養管理の行き届いた食生活が良質な睡眠をもたらす」
「睡眠時間を確保することから1日をスケジューリングせよ」

 睡眠に悩みを抱えている人ならば、一度はそんな話を聞いたことがあるのではないでしょうか。

 でも、多忙なビジネスパーソンが実行することは非常に困難です。なぜなら、ビジネスパーソンの実態は、そうした「睡眠の常識」とかけ離れているからです。

 翌日に大事なプレゼンが控えているのに、どうしても徹夜しなければならない。海外出張で時差ボケと戦わなくてはいけない。外せない打ち合わせや会食が連続して、しばらく十分な睡眠時間はとれないことが確定している。「今日こそはゆっくり眠れそうだ」と思った日に限って、緊急事態が起きて深夜残業になった……。

 そんなふうに、ただでさえ時間がないのに、イレギュラーな案件が次々舞い込むのがビジネスの現場です。そんな中で結果を出し続けるために睡眠の優先順位を下げるのは、もはや当然の選択だと言えるでしょう。

 さらに、スマホ・SNSが爆発的に普及して「常時オンライン状態」となり、いつでもどこでも寝る直前まで仕事ができるようになった今、忙しい人ほど自然と睡眠時間が削られていくのが現代のビジネスパーソンの宿命です。できることなら限界まで睡眠時間を削って山積みのタスクに充てたいというのが本音ではないでしょうか。

無意識のうちに睡眠時間はどんどん削られていく

 しかし、人間は眠る生き物です。睡眠不足が続けば疲れが溜まり、仕事のパフォーマンスに必ず悪影響を及ぼします。ここにビジネスパーソンのジレンマがあります。

多忙な毎日を送りながらでも
「眠れない」「熟睡できない」は解消できる

 だからこそ、拙著『一流の睡眠』で、ビジネスパーソンに特化した眠り方を紹介したいと思いました。今の生活スタイルを変えることなく、極端に睡眠時間を増減させることもなく、効率的かつ効果的に睡眠をとって仕事のパフォーマンスを上げる「攻め」の睡眠メソッドがあるのです。

 疲れを吹き飛ばす睡眠時間の最適解。ベッドに入って即「寝落ち」するための習慣。ランチ後の睡魔を撃退する方法。徹夜や時差ボケのダメージを最小に抑える秘訣。一番効果的なコーヒーの飲み方……。本連載でも、ビジネスパーソンの悩みに直結するような、今日からできてすぐに効果が出る、具体的で実践的な方法を紹介していきます。

「一流のビジネスパーソン」を
明確に定義する

 ところで、書店のビジネス書コーナーには、「一流」という言葉がタイトルに入った本がたくさん並んでいます。果たして「一流のビジネスパーソン」とは、どんな人のことを指すのでしょうか。

 いろいろな考え方があると思いますが、私は、一流のビジネスパーソンの条件を明確に定義します。それは「常に一定以上のパフォーマンスを上げること」です。


 上の図は、「一流」と「普通」のパフォーマンスの違いを示しています。「普通」は、プラスの領域に入る良いパフォーマンスの時もあれば、マイナス領域に入る時もあります。一方、「一流」は、多少のブレはあるものの、常にプラス側でパフォーマンスを維持しています。

 つまり、一流のビジネスパーソンとは、パフォーマンスの平均値が高く、かつブレが小さい人です。同じ環境の中にいても、周囲と比べて圧倒的に高い成果を淡々と出し続ける、大リーグのイチロー選手のような人をイメージしてください。

 ロジカルシンキングやフレームワーク、プレゼン力、文章力、カリスマ起業家の仕事術などのビジネススキルを身につけることで、あなたの能力は着実に上がっていくでしょう。しかし、誰にでも今日から実践できて、すぐに効果が現われ、最短で一流に近づくための最強のビジネススキルは間違いなく「睡眠」です。

1日を「夜」から始める
まずはそれだけ

 次回から、具体的なメソッドを紹介していきますが、最後に1つだけ、すべての「一流の睡眠」メソッドの基礎になる考え方をお伝えします。

「平日の行動を、時刻に沿って順番に書いてください」

 そう言われた時、あなたはどう書きますか?

・7:00起床
・7:30朝食
・8:00出勤……

 こう書き始める人がほとんどでしょう。しかし、この時点ですでに普通のビジネスパーソンの考え方です。一流は、次のように書きます。

★23:00就寝
・7:00起床
・7:30朝食
・8:00出勤……


 多くの人は、就寝時間を1日の「ゴール」と考えています。でも、睡眠が翌日のコンディションに直結するならば、翌日のパフォーマンスを最大化するためには、就寝時間を「1日のスタート」とするべきです。

 シンプルですが、本連載でこれから紹介していく睡眠術の大前提となる、非常に重要な考え方です。「今日も1日疲れたから寝よう」という受動的睡眠ではなく、「翌日のパフォーマンスを最高に持って行くために、さあ寝よう!」という能動的睡眠へと意識を変えることが、「一流のビジネスパーソン」への近道です。

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裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]

はい・えいしゅ/医師・医学博士、MBA。ハイズ株式会社代表取締役社長。

 

1972年奈良県生まれ。 金沢大学医学部卒業、金沢大学大学院医学研究科修了。金沢大学医学部卒業後、金沢大学第一外科(現・心肺・総合外科)に入局し、大学病院や基幹病院を中心に、主に胸部外科(肺がん、心臓病など)に従事し、日々手術に明け暮れる。その後、金沢大学大学院に入学し、外科病理学を専攻し医学博士を取得。さらに、病理専門医を取得し、市中病院にて病理医として病気の最終診断にかかわり、年間1万件以上の重大疾病の診断をこなす。

また、医師として働きつつ慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)にて医療政策・病院経営の第一人者の田中滋教授に師事。同ビジネス・スクールを首席で修了。フランスグランゼコールESSEC大学院交換留学。ビジネス・スクール在学中に医療機関再生コンサルティング会社を設立。多数の医療機関の経営支援、ヘルスケア企業の医学アドバイザー業務などを行なっている。 現在も医師として臨床業務をこなしつつ、臨床の最前線からのニーズを医療機関経営に活かすハンズオン型支援を行なう。

著書に『10の仕事を1の力でミスなく回すトリアージ仕事術』『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』(ダイヤモンド社)、『医療職が部下を持ったら読む本』(日経BP社)などがある。

 


一流の睡眠

「8時間睡眠」「規則正しい生活」など、睡眠の常識はビジネスの現実とズレている! 寝不足、不規則生活、疲れがとれない、飲み会続き……など、ハードワークな人でも結果を出せる、医学的根拠に基づいた,ビジネスパーソンのための「快眠戦略」!

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