リーマンショック後の景気悪化で大学生の就職難は厳しさを増すばかりだ。すでに今春時点で大学卒業生の3割が実質的に就職できない状況になっており、現在の厳しい就職活動の状況を見れば、来年はさらに就職留年が増えるのも確実だ。かつての就職氷河期が再来した。
9月下旬。東京・青山の高層ビルでは、合同会社説明会が開催されていた。
「イオンさん、セブン&アイさんなど流通各社を50社以上回りましたが全滅でした」
地場の中堅スーパーの採用担当者にこれまでの就職活動実績を問われた都内中堅大学の女子学生が伏し目がちに答えている。
斜め後ろのブースは、一般には不人気な、生・損保の電話セールス会社が陣取っていたが、時間指定の整理券をもらわないと説明会に参加できないほど、希望者が殺到していた。
Photo by Toshiaki Usami
雨にもかかわらず、会場には、就職の決まらない大学生が600人以上も押し寄せた。会場に入り切れない入場待ちの学生の行列がエレベーターホールにまで溢れている。開場からわずか1時間で、会場はすれ違うのさえ困難なほどの混雑ぶりだ。
無理もないことだ。この合同説明会が開催されたのは、企業が学生に内定を出すのが解禁される10月1日まで残りわずか3日の時点でのことである。
この時期に、20社近くの企業が集まって開催される合同説明会自体が首都圏でもほとんどないとあって、就職が決まらない学生が大挙して押しかけたというわけだ。はたしてこのうち何人が内定を獲得できたのだろうか。
この合同説明会を開催したアクセスヒューマンネクスト社は、「去年の1.5倍、一昨年の2倍相当の学生が来たし、一流大の学生もいる。今年の就職状況の厳しさは、尋常ではない」と指摘する。
始まった3年生の就活
4年生の就職は絶望的
酷な話だが、10月1日で、日本の大学4年生の就職活動(就活)は名実共にほぼ終わった。
この日は、大学の申し合わせや日本経済団体連合会の倫理憲章で定めた「内定解禁日」だ。実際には、夏休み前までに「内々定」が出されているが、多くの企業がこの日に、内定通知書を渡したり、入社ガイダンスを行い、就活は終了する。