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一流の睡眠
【第4回】 2016年8月12日
著者・コラム紹介バックナンバー
裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]

眠気を潰す「うまい」コーヒーの飲み方:カフェイン含有量ランキング付

睡眠の悩みを解消するための情報は、これまでにも、さまざまなメディアでたくさん紹介されてきました。でも……。

・8時間眠りなさい
・できれば「22時」に眠りなさい
・規則正しく栄養管理の行き届いた食事を摂りなさい
・睡眠時間を確保することから1日をスケジューリングしなさい

「……いやいや、そんなの無理ですから!」

そう思ったことはありませんか?

いわゆる「睡眠の常識」と、ビジネスパーソンの実態はかけ離れているのです。そこで本連載では、医師とビジネスパーソン両方の視点と経験を併せ持つ著者が、新刊『一流の睡眠』から、現実的かつ具体的な「睡眠問題解決法」を教えます。

第4回は、眠気を吹き飛ばす「カフェイン戦略」。

 
眠気覚ましのコーヒーには、正しい「飲み方」がある

そういえば知らなかった
カフェインが眠気を覚ますメカニズム

 コーヒーや栄養ドリンクに含まれるカフェインが、眠気覚ましに効果があることは有名な話です。今回は、カフェインが眠気を抑える理由とその影響を踏まえて、上手にカフェインと付き合っていく方法をお伝えしましょう。

 1つのポイントは、カフェインは「アデノシン」という物質のはたらきをブロックするということです。アデノシンの代表的な5つの働きと、カフェインを摂取することによる作用は、次の通りです。

 
 (1)睡眠誘発作用
→カフェインがブロック!→眠気が抑えられる
 (2)心拍数低下作用
→カフェインがブロック!→心拍数が上がる
 (3)痛みの誘発作用
→カフェインがブロック!→痛みが軽くなる
 (4)血行促進作用
→カフェインがブロック!→血行が緩くなる
 (5)腎臓血流低下作用
→カフェインがブロック!→尿意をもよおしやすくなる


 まずカフェインは、アデノシンの「(1)睡眠誘発作用」をブロックする働きがあるために、眠気覚ましに効果を発揮するわけです。カフェインそのものが、目を覚ます物質として作用するのではありません。つまり、カフェインで眠気を覚ますということは、自然な眠気を人工的にブロックしているということです。カフェインで脳をだまして、自然な眠気から気をそらしているともいえるでしょう。

 コーヒー2、3杯ならばそれほどの影響はありませんが、カフェインの過剰な摂取を慢性的に続けていると、脳の覚醒・睡眠リズムが崩れていきます。自然な眠りが自然な時間にやってこなくなり、不眠症になってしまう可能性があるのです。

 そこで、拙著『一流の睡眠』より、カフェインを摂る際のポイントをいくつかご紹介しましょう。

コーヒーはアイスより
ホットを選択せよ

 まず、ホットコーヒーとアイスコーヒーでは、どちらが早くカフェインの効果が出るでしょうか。

 答えはホットコーヒーです。アイスコーヒーは、その冷たさによって、小腸の粘膜の毛細血管が収縮し、吸収が遅くなりがちです。それに伴って、カフェインの血中濃度の上昇も、アイスコーヒーはホットコーヒーに比べて若干遅くなります。早めにカフェイン効果を求める場合は、ホットコーヒーがおすすめです。

「9時・12時・15時」の3回が
最強のカフェイン戦略

 また、血液中のカフェイン効果が薄れる時間、つまり血液内のカフェインの濃度が最高値の半分までに減る時間(半減期)は、健康な人の場合は2時間半~4時間半くらいと言われています。ただし、これは年齢や体調で変化します。元気な若い人なら早くて1~2時間、吸収が遅めの高齢者の場合は4~5時間が目安となります。

 ガブガブ飲み続けるのではなく、血中濃度が薄れるタイミングで飲むのが、効率的なコーヒーの飲み方と言えるでしょう。一般的なビジネスパーソンのスケジュールに沿うならば、たとえば出社後の9時、そしてランチ時の12時、そして眠気に襲われる15時の3回が有効でしょう。ちなみに、夕方以降のカフェインの摂取は、夜の睡眠に悪影響を及ぼすため、おすすめしません。

 ところで、カフェインを摂るとトイレが近くなるのはなぜでしょうか。尿は腎臓という臓器でつくられますが、先ほどのアデノシンの「(5)腎臓血流低下作用」をカフェインが抑制し、腎臓への血流を増やします。腎臓への血流が多くなると尿がどんどんとつくられ、尿意をもよおすのです。

 これはつまり、眠る前にカフェインを摂ると、眠気をブロックされるだけでなく、眠っている時にトイレに行きたくなって起きる回数が増え、さらなる睡眠の質低下につながることを意味します。

 なお、カフェインは腸の働きを促進する作用もあり、腹痛や下痢を起こすことがあります。腸が弱い方は、カフェインの過剰摂取は避けたほうが良いでしょう。

 また、カフェインには「強心作用」があると聞いたことはありませんか。カフェインがアデノシンの「(2)心拍数低下作用」をブロックすると、心臓が強く脈打ちます。この強心作用の影響で、心拍数が上がったり、血管が収縮することで、血圧が上がったりもします。コーヒーをたくさん飲むと動悸を感じるという方がいますが、これはカフェインの強心作用によるものなのです。

 もし、パニック障害や不安障害を抱えていたり、緊張しやすかったりする人は、多量のカフェインを摂取すると、心臓が過剰にドキドキする可能性がありますので、注意しましょう。

午後のパフォーマンスを上げる飲み物ランキング

 最後に、カフェイン含有量の一覧を下記に掲載します。あくまで参考程度に、くれぐれも過剰摂取は避けるようにしてください。『一流の睡眠』では、栄養ドリンクなどに含まれるカフェインの「禁断症状」についても詳しく触れていますので、よろしければご参照ください。

 ちなみに、カフェインの摂取と「20分の昼寝」では、どちらが眠気覚ましに効果があるかを検証した興味深い実験があります。結果は、昼寝の圧勝でした。カフェインを摂取するよりも、1度の昼寝が眠気を吹き飛ばす効果があることを頭に入れておきましょう。

 眠気を完全に潰すビジネスパーソンの戦略的な「昼寝」の効用については、次回、本連載で別途解説します。 

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裴英洙 [医師・MBA/ハイズ株式会社代表取締役社長]

はい・えいしゅ/医師・医学博士、MBA。ハイズ株式会社代表取締役社長。

 

1972年奈良県生まれ。 金沢大学医学部卒業、金沢大学大学院医学研究科修了。金沢大学医学部卒業後、金沢大学第一外科(現・心肺・総合外科)に入局し、大学病院や基幹病院を中心に、主に胸部外科(肺がん、心臓病など)に従事し、日々手術に明け暮れる。その後、金沢大学大学院に入学し、外科病理学を専攻し医学博士を取得。さらに、病理専門医を取得し、市中病院にて病理医として病気の最終診断にかかわり、年間1万件以上の重大疾病の診断をこなす。

また、医師として働きつつ慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)にて医療政策・病院経営の第一人者の田中滋教授に師事。同ビジネス・スクールを首席で修了。フランスグランゼコールESSEC大学院交換留学。ビジネス・スクール在学中に医療機関再生コンサルティング会社を設立。多数の医療機関の経営支援、ヘルスケア企業の医学アドバイザー業務などを行なっている。 現在も医師として臨床業務をこなしつつ、臨床の最前線からのニーズを医療機関経営に活かすハンズオン型支援を行なう。

著書に『10の仕事を1の力でミスなく回すトリアージ仕事術』『なぜ、一流の人は「疲れ」を翌日に持ち越さないのか』(ダイヤモンド社)、『医療職が部下を持ったら読む本』(日経BP社)などがある。

 


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