8月15日――終戦記念日。毎年、この季節になると「あの戦争」についてのニュースを目にすることも多くなる。この時期はお盆も重なり、日本人にとって先祖に想いを馳せるよい機会だ。まして今年は4年に一度の「平和の祭典」オリンピックが開催中である。国会で憲法改正の議論が本格化しようとしている今、平和について思考してみたい。(政治ジャーナリスト 松井雅博)

「反省すべき」と唱えられている割には
本当に学んでいる人は少ない「あの戦争」

 8月15日――終戦記念日。

 毎年、この季節になると71年前に終結した「あの戦争」についてテレビや新聞で取り上げる機会が増える。

 この時期はお盆も重なり、日本人にとって先祖に想いを馳せるよい機会でもある。筆者自身も13日、亡くなった祖父と父の墓参りに行き、御先祖さまへの感謝の想いを噛みしめたところだ。

 まして今年は4年に一度の平和の祭典オリンピックが地球の反対側で開催中であり、4年後には日本へやってくる。そして、国会では今まさに憲法改正の議論が本格化しようとしている。今こそ、平和というものについて「思考」を始める時ではないだろうか。

 この時期、マスメディアで特集されることが多い「戦争からの学び」「戦争の反省」とは、具体的に何なのだろう。「学ぶべき」「反省すべき」ということが声高に唱えられている割には、本当に学んでいる人は少ないように思っている。

 例えば、いわゆる「リベラル派」の人たちは、「戦争」を絶対悪とみなして否定するばかりで、その根本的な原因や戦略の失敗については、具体的に何を反省しているのかよくわからない。

 一方、いわゆる「保守派」の人たちは、当時の日本の大義を証明しようと躍起になっていたりするが、伝えたいことはわかるものの、いささか「感情的で攻撃的な発言」が多くなりがちで、何を保守しようとしているのかわからなくなり、主張を理解してもらえないという残念なケースが多い。

 こうした「保守 vs リベラル」という昭和の香りのする軸を捨てて、日本のあり方を冷静に考えるべき時に来ている。客観的に史実を受け止めた上で、私たちはあの戦争から何を学ぶべきだろうか。真摯に過去の歴史と先人たちの行いを振り返りながら、この機会に日本人が甚大な被害を代償に得た「戦争からの学び」を考察したい。