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週末は田舎暮らし ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記
【特別連載 第2回】 2016年8月31日
著者・コラム紹介バックナンバー
馬場未織

都市生活者の日常に「週末、田舎暮らし」を
インサートするということ

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平日は都会で働き、週末は田舎で過ごす。東京生まれ、会社勤め、共働き、こども3人。「田舎素人」の一家が始めた、都会と田舎を行き来する「二地域居住」という暮らし方には、どんな意味があるのか?これからの暮らし方を考えさせると話題の家族奮闘記『週末は田舎暮らし』から、一部を抜粋して紹介する。

日常に、田舎暮らしをインサートする

 時計を見ると、もうすぐ17時30分。ああ、もう帰宅時間、また保育園のお迎え時間ギリギリだ、と慌てて仕事を切り上げる夕刻です。今日は金曜日、積み残しの仕事はクラクラするほどありますが、それはパタンと閉じたパソコンの中。今週もあっという間だったなあ……さて帰る!

 電車に揺られ、バスに揺られ、保育園に寄って、ようやく家に着いたら今度はまた出かける準備です。いつもの移動用バッグを取り出して、ネコ2匹を入れるカゴも準備します。週末は小旅行?いえいえ、これからまた家に帰るのです。満天の星空の下でわたしたちの帰りを待っている、週末の我が家に。

 植木鉢の土さえもゴミ袋に詰めてゴミの日に出すしかない東京のコンクリート住宅地の我が家から、100年前とさほど変わらない田園風景の広がる緑深い里山まで、ドアツードアで1時間半。千葉県南房総市の中山間地に、わたしたち家族が週末に暮らす家はあります。

 出発は金曜夜。日中は物流トラックで混雑している東京の大動脈ともいえる都道、環状八号線を通って羽田方面に向かい、長大なトンネルと長大な橋で東京湾を横断する「東京湾アクアライン」を渡って房総半島へ。

 そのまま一気に房総半島の南端まで通っている高速「館山自動車道」を走り、しばらくすると街の灯りがどんどん減り、どんどん暗くなり、ほどなく終点というところで高速を降りて、前後に車の光が見えない暗い田舎道を行き、しいーんと寝静まった集落の農道をのぼっていくと、暗闇をはらんだ民家がぽつんと建っている。

 車のエンジンを切ると、体が浮くような静寂と、頭上には天の川。大抵はまだ東京で仕事をしている夫から「無事に着いた?」と入るメールに「着いたよ。こちら変わりなし」、あるいは「着いたよ。こちら草ぼうぼう!」と返信し、玄関を開け、冷気のたまる暗い部屋に「ただいま」と声をかけ、ぽっと部屋の明かりを灯すと、ようやく里山での週末時間が始まります。

 日があるうちは野良仕事に精を出し、夜はマイホームである古びた農家で雑魚寝。日曜夜にはどっさりの野菜や花、こどもたちとネコを積んで東京に戻り、また平日頑張って働くというライフスタイルは、今年で8年目になります。

 自分たちで管理するには手に余る、8700坪という広大な敷地。過半は山林で、その山にへばりつく農地があり、川あり、滝あり、原野あり。こどもたちにはこどもたちのやりたいことがあり、わたしにはわたしのやりたいことがあり、それぞれがこの場所で自分の週末を思い思いにつくっています。

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馬場未織 

 

1973年東京都生まれ。1996年日本女子大学卒業、1998年同大学大学院修了後、建築設計事務所勤務を経て建築ライターへ。プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約200往復する暮らしの中で、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、東京に野菜の美味しさを届ける「洗足カフェ」(目黒区)、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営などを手掛ける。

 


週末は田舎暮らし ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記

山崎亮氏推薦!「すごくアナログだけど、とても未来的な生活だ。」東京生まれ、会社勤め、共働き、子供3人。「田舎素人」の一家が、都会と里山の往復生活を通して、手さぐり体当たりで見つけたこれからの豊かで新しい暮らし方。土地探しから地域との関わり方、家庭菜園まで、等身大のデュアルライフ入門。

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