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哲学を離れ、人材育成に科学を導入
弱みを克服させる教育システムを創造
ネクストエデュケーションシンク社長 斉藤 実

週刊ダイヤモンド編集部
【第128回】 2010年10月29日
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ネクストエデュケーションシンク社長 斉藤 実
Photo by Toshiaki Usami

 一貫した科学的人材教育システムを提供する──。斉藤実率いるネクストエデュケーションシンク(NET)は、パソコン上のスキルチェックで経験や知識、行動特性、モチベーションなどを診断し、結果を可視化。受診者の弱みを明確にする。

 そしてそれを強化するべく、eラーニング(インターネットなどの電子媒体を利用した教育システム)の教材や研修などを、システムにより自動でマッチングし、教育の提供までを一貫して行う。研修体系は企業にカスタマイズして作り、1社に対して数百のコースを用意。研修の管理、運営受託まで請け負う。

 NETの事業はテクニカルな印象があるが、斉藤の職歴はそれとは無縁の哲学書の編集から始まる。きっかけは、大学入学当時の時代環境にあった。時はまさに全共闘の真っただ中だった。

 「マルクスの本を読んでいるか。安保闘争をどう思うか」。読書家で、本はずいぶん読んでいたという斉藤だったが、急に国家レベルの話を振られて面食らう。知識の不足を埋めようとまた本を読む日々。しかしあるとき気づくのである。闇雲に勉強してもキリがない。自分の考えを持ち、それに従って主体的に行動するべきだ──。

 就職では、自分の考えを外に発信するマスコミを志望した。哲学系の出版社に入り、書籍の編集から雑誌の編集へ移ると、自分で立てた企画に沿って大学教授などに原稿執筆の依頼に行った。毎日刺激があるし、自分の考えたものが一冊の雑誌になるのだから楽しい。しかし、問題は知らずしらずのうちに発生していた。頭が硬くなり過ぎてしまったのだ。

 あまりカネにこだわらなくなっていた。生活が貧しくてもなんとも思わない。清く、正しく、貧しく。斉藤は親友に「最近浮世離れしている。このままいくと、家庭も持てないぞ」と諌められて目が覚める。

 折しも、“思考するコンピュータ”の研究に国が予算をつけ、パソコンが庶民の手に入る値段になった頃。斉藤が人工知能の特集を組んで関連本を読み漁っていた時期だった。読んでいる本の半分くらいが、パソコンのソフトウエアの開発会社であり出版社であるアスキーの本だった。パソコンの発展を見た斉藤は87年、急成長していたアスキーへ転職する。

未経験の営業に配属
時代の変化を感じ起業の決意を固める

 ところが、配属されたのは編集ではなく営業だった。斉藤が課されたのは、国内メーカーに対する、パソコンの技術者向け、一般ユーザー向けマニュアル制作のOEM営業だった。

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