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週末は田舎暮らし ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記
【特別連載 第3回】 2016年9月2日
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馬場未織

都会と田舎を行き来して初めてわかった
暮らしの「化学変化」

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平日は都会で働き、週末は田舎で過ごす。東京生まれ、会社勤め、共働き、こども3人。およそフットワークが軽いと言えない「田舎素人」の一家は、なぜ「二地域居住」という生活を選んだのか?田舎暮らしの新しいバイブル『週末は田舎暮らし』から、一部を抜粋して紹介する。

「はじめる」ことと「続ける」こと

 我が家のある南房総市の三芳地区(旧三芳村)は、平野部には農地が広がり、中山間地には昔ながらの暮らしを続ける農家が残っている場所です。

 温暖な気候から多様な野菜や果物、花などが生産され、蛍舞う美しい水をひいた田んぼから穫れる米は「蛍まい」という名産品になっています。また、酪農家も多く、味の濃い低温殺菌牛乳は道の駅でも買うことができて地産地消の好例となっているようです。

 はじめてここを訪れたとき、絵に描いたような里山の田園風景に心奪われました。数年前までは村全体に信号がひとつしかなく、東京から1時間半でこんなに長閑な場所に来られるのかとちょっとびっくりしました。元気な地元の農家さんたちは、合理的な集約農業ではなく、昔ながらの小さな農業を続け、その手によって里山の田園風景が今も美しく残り、環境が維持されているという塩梅です。

 ここにヨソモノとして入ってきたわたしたちは、都会からたまに来る風変りな家族ということで「別荘扱い」とみなされ、いろいろ教えてもらいながら足らない部分を大目に見てもらっていました。

 でも、少しずつ地元の方々に触れる中、集落にはこどもや若者がほとんどいないこと、高齢化と跡継ぎ問題が表裏一体となり深刻化していることなど肌で感じ、ヨソモノとして観光客のように環境を享受するだけというわけにはいかないぞ、という思いがふくらんでいきました。

 時間をかけて地域への愛着が増していくと同時に、地域の問題を自分自身の暮らし方、生き方の問題として捉えるようになったのです。

 どうしようもなく大事な場所、守るべき責任がある場所。そんな大きなものを背負ってしまったことが、わたし自身の生活の豊かさと一体である以上、季節商品のオススメのように「みなさんも二地域居住をどうぞ!」と軽い感じで宣伝することはできないや、というのが本音です。

 でも他方で、背負うものがあることはあながち、悪いことでもないよ、とも思います。わたしにとってそれは逃げ出したい重圧ではなく、どうにかしなければという思いと共にこの土地にい続ける重石として作用しています。

 10年、20年先にこの地域はどうなるんだろう、自分たちに何ができるんだろう、と悩みや課題は山のようにあります。ある、というか、できてしまうのです。暮らしを重ねれば重ねるほど。

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馬場未織 

 

1973年東京都生まれ。1996年日本女子大学卒業、1998年同大学大学院修了後、建築設計事務所勤務を経て建築ライターへ。プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約200往復する暮らしの中で、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、東京に野菜の美味しさを届ける「洗足カフェ」(目黒区)、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営などを手掛ける。

 


週末は田舎暮らし ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記

山崎亮氏推薦!「すごくアナログだけど、とても未来的な生活だ。」東京生まれ、会社勤め、共働き、子供3人。「田舎素人」の一家が、都会と里山の往復生活を通して、手さぐり体当たりで見つけたこれからの豊かで新しい暮らし方。土地探しから地域との関わり方、家庭菜園まで、等身大のデュアルライフ入門。

「週末は田舎暮らし ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記」

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