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週末は田舎暮らし ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記
【特別連載 第17回】 2016年10月5日
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馬場未織

草、草、草…
都市生活者が「田舎暮らし」で
最初にぶつかる壁は「雑草」である

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平日は都会で働き、週末は田舎で過ごす「二地域居住」という暮らし方。東京生まれ、会社勤め、共働き、こども3人……「田舎素人」の一家にとっては命の匂いを感じられる自然も、実際に暮らすと、マッシブに生え茂る雑草との闘いが悩みのタネとなる。都会と田舎の往復生活を描いた奮闘記『週末は田舎暮らし』から、一部を抜粋して紹介する。

◆これまでのあらすじ◆
東京生まれ、会社勤め、共働き、こども3人。一家はついに東京と房総を行き来する「二地域居住」をスタート。「週末は田舎暮らし」という変わったライフスタイルも、無事、田舎の人たちに受け入れられた。一方、寒い冬が終わり、新緑の季節がやってくると、一家に新たな難問が降り掛かる……。

房総、草ぼうぼう

 東京で生活する中で、「雑草が伸びちゃって」ということを実感するとしたら、庭に出しておいた鉢にカタバミがはびこったりだとか、道路沿いの草がちょっと伸びちゃったりとか、その程度ではないでしょうか。

 それまで、草の伸びる速度に注目して生きてきたことのなかったわたしは、「雑草が伸びる」速度と迫力についてあまりに無知でした。寒い寒い冬が終わって新緑の季節が来るまでは、よかったのです。

 雑草の枯れ果てた茶色い地面がたちまち緑に覆われる様の美しさに、本当に心から、そして無邪気に感動していました。なんという濃い命の匂い!日々濃くなる草に体をうずめてウットリと深呼吸。

 虫カゴを持って飛びまわるニイニと、その後ろにくっついて転げまわるポチンにわたしも続き、まだ名を知らない野の花を摘んだり、お弁当をつくって段々畑の真ん中に座り「じぶんの家でピクニックができるなんて!」とのんきに楽しんだり。

 それはそれで、今も色褪せることなく毎年繰り返している感動なのですが、「きたぞー、きたぞー、いよいよ草刈りの季節がきたぞー」と指をポキポキならしながら覚悟を決める時期だとはつゆ知らず、ただただ自然の豊かさを鑑賞していました。知らないというのは、幸せなことでもあります。

 さて、それが、どうもちょっとすごいことになってきたぞ、こんなのんきではいけないのではないかと思いはじめたのは、日差しの強まるゴールデンウィークのころでした。

 週末、この家に到着すると、草がどっと伸びている風景に衝撃を受けたのです。敷地全体が、草でモッサリ。人の住む敷地に見えません。

 そしてすぐ、モッサリを通り越してあたり一面の草がどっとマッシブに増幅していきました。そのまま人間生活の場を奪いかねない勢いです。わたしは「どうしよう、草が怖い」と思いました。ヒッチコックの映画『鳥』を思い出すほど。シャレにならない伸び方なのです。

 草だけではありません。裏山に竹林があり、そこかしこに笹藪があるのは知っていましたが、「そこはあんたの出る場所じゃないはず」という唐突な場所に、竹や笹がニョキッと生えてくるのです。

 はじめは数本生え、あららとか言いながら手で折っていたのですが、季節が進むにしたがって、そこかしこからニョキニョキニョキニョキニョキと生え出して、あたり一面針山のよう。

 ポチンがその風景に驚いて「ここ、ぜんぶ、チクチクになっちゃった!」とわたしにしがみつき、「大丈夫よ、竹も笹もまだ柔らかいから、こうやってポキポキ折れるから」と教えながらも、油断すると大変なことになるぞと、わたしも同じレベルでドキドキしました。

 「草が」「伸びて」「大変」
「竹も」「伸びて」「大変」
「土地を」「管理する」「必要」

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馬場未織 

 

1973年東京都生まれ。1996年日本女子大学卒業、1998年同大学大学院修了後、建築設計事務所勤務を経て建築ライターへ。プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約200往復する暮らしの中で、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、東京に野菜の美味しさを届ける「洗足カフェ」(目黒区)、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営などを手掛ける。

 


週末は田舎暮らし ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記

山崎亮氏推薦!「すごくアナログだけど、とても未来的な生活だ。」東京生まれ、会社勤め、共働き、子供3人。「田舎素人」の一家が、都会と里山の往復生活を通して、手さぐり体当たりで見つけたこれからの豊かで新しい暮らし方。土地探しから地域との関わり方、家庭菜園まで、等身大のデュアルライフ入門。

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