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ニッポン「趣味活」生態図鑑

これがローカル線と少子化ニッポンの生きる道!?
700万円で夢を売った「いすみ鉄道」に学ぶもの

西川敦子 [フリーライター]
【最終回】 2010年10月29日
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 「限定1両!いすみ鉄道の鉄道車両、いすみ200型204号車を210万円で販売いたします」

 いすみ鉄道が、こんなトテツモナイ売り出し文句で、日本中の度肝を抜いたのは今年8月。車庫に眠っていた自社の中古車両をオンライン発売したのだ。「どんな大金持ちの鉄道マニアが買うんだ!?」などとさんざん話題になったが、結局、養鶏業を営む地元の人がレストラン店舗用に購入している。

 同社のびっくりニュースはこれだけではない。

 たとえば、ムーミンのキャラクターを車体や車内にあしらった「ムーミン列車」の運行。枕木オーナーの募集。鉄道や駅のネーミングライツ(命名権)の販売などなど。ちなみに、駅名命名権の価格は100~200万円。すでに3駅分を売却しており、「デンタルサポート大多喜駅」「三育学院大学久我原駅」「風そよぐ谷 国吉駅」などの駅名が誕生している。国吉駅の命名権を買ったのは、同社の代表取締役社長、鳥塚亮氏だ。

 なんといっても、きわめつけは今年4月末に発表されたニュース。「養成費用の自腹負担を条件に、自社運転士を募集する」というものだ。訓練費用は700万円と高額にもかかわらず、100件以上の問い合わせが集中。4名が選ばれ、契約嘱託社員として訓練を受けることになった。その後、3名が学科試験、適性検査に合格し、現在、運転訓練に入っているそう。

 鉄道マニアのみならず、今や全国のお茶の間にその名が知れ渡った「いすみ鉄道」。びっくりニュースの舞台裏をのぞいてみると、少子化時代を生きのびるための重要なヒントも見えてきた。

 なお、この連載ではさまざまな「趣味活」の達人にインタビュー。社会がギスギスする中、妙に活気のある、奥深きオタクワールドを紹介していく。

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趣味活企業#06:いすみ鉄道
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前代未聞の取り組みに批判の嵐も
それでもやらざるを得なかった

 「たしかに訓練生を募集したときは、一部ですが批判も寄せられました。『社長も従業員も全員、精神病院へ入れ』などという過激なメールも届きましたよ」

 こう打ち明ける同社総務部長の高橋清さん。ネットでも、「ブラック企業」などと非難する声があった。もちろん、7割ほどは前例のない試みを賞賛し、励ます内容だったそうだが。

 そもそも同社はなぜ、こんな大胆な案を打ち出したのだろう?

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西川敦子 [フリーライター]

1967年生まれ。上智大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、独立。週刊ダイヤモンド、人事関連雑誌、女性誌などで、メンタルヘルスや介護、医療、格差問題、独立・起業などをテーマに取材、執筆を続ける。西川氏の連載「『うつ』のち、晴れ」「働く男女の『取扱説明書』」「『婚迷時代』の男たち」は、ダイヤモンド・オンラインで人気連載に。


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多くのビジネスマンが仕事や家庭でのストレスにさらされている現代社会。しかし、そんな彼らを「熱く」救うものがある。それが「趣味」だ。本連載では「趣味活」によって楽しく生きるオタク系サラリーマンを毎回紹介し、仕事や家庭以外の新しい生き方を提案をするとともに、彼らをターゲットにしたビジネスの拡大を追う。

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