避暑地や観光地にある「顔ハメ看板」。家族や恋人と撮りっこした思い出のある人も多いのでは。その顔ハメ看板を訪ね、全国行脚する男性がいる。これまでの投資金額はなんとおよそ1000万円!彼をそこまで虜にする顔ハメ看板の魅力とはいったい何なのか。そして男たちがひとり旅をやめられないワケとは――。婚活なんてそっちのけの不思議な趣味活ライフに迫った。

 なお、この連載ではさまざまな「趣味活」の達人にインタビュー。職場や社会がギスギスする中、自分の時間を生き生きと満喫する男たちの、熱くて奥深いオタクワールドを紹介していく。

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趣味活男#02:浅見通彦さん(仮名・41歳)
職業:エンジニア
家族:独身
趣味:顔ハメ看板撮影
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北は宗谷岬から南は由布島まで
7年間で発見した「顔ハメ」は970枚!

顔ハメ看板にもこんなハイレベルな作品が…。丸ノ内オアゾのJAXAiに設置された宇宙服顔ハメ。中の人は浅見さんご本人。

「顔ハメ看板のよさは“裏”を見ればわかります」。こう力説するのは、エンジニアの浅見通彦さん(仮名)、40代。ちなみに独身だ。

 “腐りかけてボロボロ、あと1年ももてばいい方”といったものが、じつはもっとも観賞価値が高い。ちょっとさびれた観光地にあれば言うことなしだ。時代色を感じさせる顔ハメ看板がうら寂しい景色と溶け合い、味わい深い風情を醸し出すのだという。

 しみじみと表側を鑑賞したら、裏を確認して「ああ、やはり」とうなずき、顔をハメず現物だけをカメラに収める。裏が新品同様なら、「10年後、またな」と、そっと声をかける。そのいとおしみ方はなんだかワイン通のようだ。

「老朽化しすぎると捨てられちゃうので、いい時期に巡り合うのは難しいですね。『3年前はたしかここにあったのに』なんてこともしょっちゅう。でも、その『はかなさ』がまた魅力なんですよ。顔ハメ看板巡りは、まさに“一期一会の旅”といえるかも」