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「引きこもり」するオトナたち

一度でも引きこもると500万のローンも組めない現実

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第265回】 2016年8月25日
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音楽がきっかけで自立への道を歩み始めた男性。しかし、自立後にはさまざまな課題が待ち受けている 
※写真はイメージです

 引きこもる人が何とか社会につながったとしても、自立後の課題が立ちふさがる。

 引きこもり経験のある京都府在住の「たなかきょう」さん(芸名、40歳)は現在、月18万円ほどのNPOで働く傍ら月に4~5回、ライブ活動を行っている。ライブの収入は、年に50~60万円くらいだ。CDも出している。

 元々、たなかさんは、ライブハウスに行けるようになったことがきっかけで、社会に出られるようになった。

26歳から4年間、電車にも乗れない
原因は幼少期の両親に?

 18歳の頃から断続的に引きこもってきた。本格的にこもったのは、26歳のときから4年間。壁から声が聞こえるような気がした。皆が見ているような気がして、怖くて電車に乗ることもできなかった。自分でも「引きこもっているんだな」と感じた。

 自分が引きこもったのも、幼少期の父親が原因だったと思っている。

 「期待してくれてたんでしょうけど、“できへんかったら死んでしまえ”などと殴られました」

 父親には、しんどいとき、わかってほしかった。一般論で「これが正しい」と理論をすり替えるのではなく、もっとありのままの感情論を聞けたら良かったなと思う。

 母親も「あなたのためだから」とよく口にした。自分のためでいいのに、自分のために、とは言ってくれなかった。

 だんだんと自分を追いつめている感じがあった。聞こえてくるような気がしたのは、自分の声だったのかもしれない。ただ、自分の中でずっと闘っているように思えた。

 「なんで生きてるんだろう?」

 死ねないことがつらかった。子どもの頃から、存在感の薄さを感じていた。

 きっかけがあれば、死にたいと思った。でも、何もできなかった。

 「それなら、もういいや、できなくてもいいから、やりたいことをやろう」

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

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