日本の人口は今、何人くらいか、君は知っているかな。2010年の国勢調査を見てみるとだいたい1億2806万人。でも、この人口はこれからどんどん減ってしまうんだって。
国立社会保障・人口問題研究所では、将来の人口について3つの見方で予測を立てている。このうち、「中位推計」――人口の増減が中程度と仮定した場合の予測――を見てみると、2030年には1億1522万人、さらに2060年には8674万人となっている。これは、第二次世界大戦後の人口とほぼ同じ規模だ。
どんどん人口が減り、縮んでいく日本の社会。いったい私たちの行く手には何が待ち受けているんだろう?
――この連載では、高齢になった未来の私たちのため、そしてこれからの時代を担うことになる子どもたちのために、日本の将来をいろいろな角度から考察していきます。子どものいる読者の方もそうでない方も、ぜひ一緒に考えてみてください。
東京大学大学院 准教授
大月敏雄先生の話
※この記事は、大月先生のお話を参考に執筆者が記事を構成、編集しています
空き家はこの10年で180万戸も増加
2050年、所有者不明の土地は約4万以上に!?
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻准教授。東京大学工学部建築学科卒業。東京大学大学院博士課程単位取得退学。建築計画、住宅地計画、ハウジング、まちづくりが専門。特に集合住宅計画、住宅地計画、海外のスラムのまちづくりなどを主たるフィールドとしている。著書に『同潤会のアパートメントとその時代』(共著・鹿島出版会) 『集合住宅の時間』(王国社)『奇跡の団地 阿佐ヶ谷の住宅』(共著・王国社)など。
ちょっと想像してみてほしい。今、自分が住んでいる町が空き家だらけになった光景を。こわれかかった家や雑草の生い茂った庭ばかりがやたらと目立つ。誰かが住んでいるらしき家も人が出入りする様子はなく、近所ともおつきあいはないみたいだ――。
2010年12月、国土交通省は衝撃的(しょうげきてき)なレポートを発表した。タイトルは「国土の長期展望に向けた検討の方向性について」。2050年の日本の国土がどうなっているか、シミュレーションしたものだよ。「現在、人が住んでいる地域の約2割は誰も住んでいない土地になってしまう」「都市圏でも多くのエリアで人口が激減し、その約2割は人口が半分以下になる」などなど、ショッキングなデータがたくさん並んでいる。
このレポートにはもうひとつ気になる予言が書かれている。「“所有者不明の土地”の激増」だ。