〈小沢氏を強制起訴〉

 1月31日、号外まで出た小沢一郎氏の強制起訴は、約二年にわたる「政治とカネ」の問題に決着をつけたかのようである。

「カネに汚い小沢一郎」という政治家の正体がようやく法的にも証明されたのだ。これで「政治とカネ」の問題も一気に解決に向かうに違いない。

 きっと、国民の多くがそう思っていることだろう。だが、実際にそのニュースに触れると、「何かがおかしい」と気づくことになる。

 少し長くなるが、恣意的な引用を避けるためにも、翌日の「産経新聞」朝刊の記事をそのまま掲載する。

 〈民主党の小沢一郎元代表(68)の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で、検察官役を務める指定弁護士は31日、同法違反(虚偽記載)罪で、小沢元代表を在宅のまま強制起訴した。検審の議決に法的拘束力をもたせた平成21年施行の改正検察審査会法に基づく強制起訴は4例目で、国会議員は初めて。

 政権与党の実力者が国民の判断によって起訴される事態となり、政権への打撃は避けられない。小沢被告に対し政治責任を問う声も再燃しそうだ。

 起訴状によると、小沢被告は、衆院議員の石川知裕被告(37)=同法違反罪で起訴=ら元秘書と共謀。陸山会が16年10月に東京都世田谷区の土地を約3億5千万円で購入したにもかかわらず、同年分の政治資金収支報告書に記載せず、17年分の収支報告書に記載したなどとされる。

 東京地検特捜部は昨年2月、石川被告らを起訴する一方、小沢被告については嫌疑不十分で不起訴とした。その後、東京第5検察審査会が「起訴相当」と議決。特捜部は再び不起訴としたが、審査員全員が交代した第5検審の再審査が行われ、同9月に起訴議決が出された。