前回お話しした通り、記者会見でのコメントテクニックとして、16個の重要なポイントがあります。前回は【前編】として1~8までの8つのポイントを紹介しました。今回はその【後編】として、9~16までのの8つのポイントをご紹介します。

9) 誤解に基づく質問を正す

 噂や誤った情報に基づく質問をされた場合には、まず、誤解を解く必要があります。全く事実無根であれば、全面否定すればよいのですが、全面否定する場合でも相手を馬鹿にした言い方は控えましょう。

 一番まずいのは、現場からトップに正しい情報が入っておらず、記者の聞いた噂のほうが正しかった場合です。このような場合には、後で謝罪しなければなりません。

 「リストラを大規模にするということですが、本当ですか」

 「消費者からのクレームに対して横柄な対応をしたそうですが」

 「御社の経営は傾いている、危なっかしいという噂が絶えませんが、実際はどうなのでしょう、大丈夫なのですか」

10)誘導尋問形式の場合

 記者が一方的に自分の意見を述べて、それに同意させてしまうことがあります。記者たちは、誘導尋問とは言わず「書き飛ばし」と言っています。

 これにうっかりと乗ってしまうと、記者の言ったことが本人のコメントとして使われてしまいます。インタビューでは、記者が相手の言葉の意味を確認するために、自分の言葉に言い換えて「つまり、……ということですね」と言ってきます。確認と誘導尋問は似ていますので、記者からの質問は注意深く聞き取り、真意を見抜きましょう。

――「そうだ」と答えてしまい、「辞任」報道されてしまった出光興産社長

 北海道で起きた工場火災で、出光興産の社長が辞任するという誤報が流れたことがあります。本人はすぐに辞任を撤回する発言をしましたが、なぜこのような誤報が生じたのでしょうか。