『週刊ダイヤモンド』12月2日号の第1特集は、「究極の省エネ英語」です。今度こそ、最後のチャレンジにしたい──。幾度も英語に向き合おうとしてきたものの、イマイチ効果がえられていないあなたに吉報がある。時間もおカネも負荷もかけない、究極の「省エネ英語」ならば、無理せず学習を続けられるのだ。中学レベルから始める英語習得術を教えます!あなたが英語アレルギーから解放される日は近い。

 昨年春、インターネット上ではある話題で持ち切りだった。「英語の教科書の先生がかわい過ぎるんだが……」。

 話題になったのは、東京書籍の中学校英語教科書、『NEW HORIZON』。従来の教科書の挿絵とは一線を画す、中学生にとってなじみのあるアニメ風のイラストに変貌したのだ。英語に苦手意識のある生徒でも勉強に興味を持てるようにという狙いからだった。

 だが、絵に目を奪われてばかりではいけない。実は、この半世紀の長いスパンで、教科書の内容そのものが大きく変化している。

 東京書籍英語編集部の林雅也部長は、「文章のテーマや重視されるスキルが、より実践的なものになっている」と解説する。

 例えば、教科書で最初に出てきたフレーズは何だったか覚えているだろうか。昭和時代の教科書で学んだ世代は、すぐさま「This is a pen.」と答えるだろう。しかし、現在の教科書では、「Iʼm 〇〇.」。自己紹介から入るのだ。「My name is ○○.」と習った人も多いだろうが、それすらも古い表現だ。

「平成10年に改訂された学習指導要領から〝実践的コミュニケーション〟という言葉が使われるようになり、より対話を重視した内容に変わっている」(林部長)

 昔の教科書では、英米の世界観に基づいたテーマが多く、日本の生徒が米国へホームステイに行くといった、あまり身近ではないシーンが多かった。

 いまや、舞台は日本の中学校そのもの。日常の出来事についての会話など、より中学生の目線に合った内容になり、生活の中で使いやすいフレーズが多い。扱うテーマは、中学生の関心の広がりに合わせるように、科学からスポーツ、日本文化まで幅が広がった。

 教科書が変化したのは、求められる英語力の方向性が変わったということだ。より実践的なスキルを今の中学生は学んでいる。それは今のビジネスマンにとっても必要とされるスキルのはずだ。中学教科書は、意外に〝使える〟のである。

 世に溢れる英語教材ではイマイチしっくりこないと感じている人こそ、基本に立ち返り、中学英語からおさらいしてみてはどうだろう。教科書の購入場所は限られるが、300円程度とリーズナブル。子供の“お下がり”を使ってもいい。中学教科書は最強の英語テキストである。

時間もおカネも負荷もかけない! 「省エネ英語」のススメ

『週刊ダイヤモンド』12月2日号の第1特集は、「究極の省エネ英語」です。

 ビジネスで通用するレベルになりたいけれど、英語に対するコンプレックスが消えない。いつの間にか、世間では「英語がビジネスマンの必須スキル」といわれるようになり、落ちこぼれることへの焦りと苦手意識ばかりが増幅している──。

 そんな悩みを抱えたビジネスマンが意外に多いのではないでしょうか。そう考えたことが、本特集を企画するに至った起点になっています。会社からはTOEICのハードルを設けられ、楽しく学習する心理的余裕などない。非現実的な習得の「ゴール」を目指した結果、現実とのギャップに苦しみ、途中で挫折してしまっては身もふたもありません。

 でも、立ち止まって見て欲しいのです。日本で働いている限りにおいては、共通言語は日本語なのです。焦る必要は全くないのです。

 そこで今回、本誌が提唱したいのは、習得のデッドラインを強制的に設ける「サバイバル英語」ではなくて、時間もおカネも負荷もかけない「省エネ英語」です。

 省エネ英語には以下の5つのルールを設けました。

 

 1,無駄におカネをかけない

 2,無駄に時間をかけない

 3,無駄に負荷をかけない

 4,中学レベルでおさらい

 5,独学できる

 

 賛否両論があると思いますが、英会話スクール通学や短期留学、TOEIC対策といった勉強法は、おカネや時間がかかるので、見送ることにしました。

 まずは「英語を嫌いにならないこと」「英語に触れ続けること」を最優先目標とすることにしたのです。

 では、どうやって英語と向き合うか。まずは、中学レベルのおさらいから始めましょう。義務教育だと馬鹿にすることなかれ。復習は、レベルを下げるためにやるのではなく、英語の基本構造を理解するためにやるのです。基本を押さえることなく、単語・フレーズの暗記だけに頼っていると、学習の途中でつまずくことが多いのです。

 本来、英語学習はとても楽しいものです。若かりし頃に想いを馳せながら、もう一度、英語と向き合ってみませんか。