食べ物を変えると、脳も変わる!2017年11月に刊行され、早くも重版の決まった『脳にいい食事大全』。栄養コンサルタントのミシェル・ショーフロ・クックによる「脳のパフォーマンスを最大化するスーパーフード」を連載形式で紹介していきます。

ブルーベリーの知られざる効果とは

日常的にブルーベリーを食べると、炎症が劇的に減り、記憶力が高まる。

ブドウは脳に効く食べ物としての高い評価を得ているが、ブルーベリーももっと注目を集めてもよい食べ物だ。この美味しいベリーは、さまざまな作用によって脳を病気から守る。また加齢に伴う記憶力低下を予防する効果もある。ブルーベリーが脳にどのような働きをもたらすかを見ていこう。

まず、ブルーベリーにはフラボノイドと呼ばれるファイトケミカルが含まれている。フラボノイドは、脳をフリーラジカルによる被害から守る。ブルーベリーにはプロアントシアニジンと呼ばれる最高濃度のフラボノイドが含まれている。プロアントシアニジンはブルーベリーを鮮やかな青色にし、老化や病気の原因になるフリーラジカルを破壊する抗酸化物質として作用する。

多くの研究で実証されているブルーベリーの脳への健康効果は、プロアントシアニジンや他の成分の作用によってもたらされていると考えられる。動物実験では、ブルーベリーの抽出物を与えられた動物は運動能力の低下が少なく、記憶力テストでの結果も優れている。ブルーベリーの成分には、老化に伴う記憶力や運動能力の低下を食い止める作用があるという研究結果もある。

また、ブルーベリーは天然のアスピリンとも呼べる存在で、脳卒中に関連する動脈血栓の予防に役立つサリチル酸が含まれている。また、さまざまな脳疾患の引き金になる炎症をとり除く抗炎症作用もある。

ブルーベリーには、体内の熱ショックタンパク質レベルを上昇させる作用があることもわかっている。熱ショックタンパク質またはストレスタンパク質は、急激な体温上昇などのストレスに対処するために用いられるほか、体内でのタンパク質の製造と輸送、細胞の保護などの役割も果たしている。

熱ショックタンパク質は加齢と共に減少するが、減りすぎてしまうと脳を含む細胞の炎症や損傷の原因になる。ブルーベリーは熱ショックタンパク質を回復させるため、日常的に摂取することで炎症の軽減効果が見込める。

ブルーベリーの日常的な摂取によって、気分を高揚させる脳化学伝達物質ドーパミンの分泌も促される。脳の報酬・快感中枢を司るドーパミンは、パーキンソン病などの脳疾患患者ではレベルが低くなる傾向がある。

さらに、ブルーベリーは脳の強化と保護に役立つビタミンE、ナイアシン、葉酸などのビタミンやマグネシウム、マンガン、カリウムなどのミネラルを豊富に含んでいる。

ブルーベリーはがんのリスクを減らす

週に5日、2分の1カップのブルーベリーを食べよう。生でも冷凍タイプでもいいが、缶詰や加糖タイプのものは避けること。

スムージーに加えたり、冷凍庫で型に合わせて凍らせて食べたりするのも簡単だ。私のお気に入りは、冷凍したものを少しだけ解凍してシャーベット状にし、デザートとして味わうことだ。プリンや朝食用のシリアル、サラダに添えるのもいいし、単体でおやつにするのもいい。ブルーベリーは脳に効くだけでなくとても美味しい。

ブルーベリーには、抗がん作用と遺伝物質の保護作用が証明されているファイトケミカ
ル、エラグ酸も豊富に含まれている。また身体ががん細胞などの有害な細胞や損傷した細胞を見つけ出して破壊するための方法であるアポトーシス(細胞の自然死)を健全な比
率で促すため、がんのリスクを軽減する。