中国大陸の一般市民は、台湾総統選挙に非常に高い関心を寄せた。同じ言葉を話し、同じような経済発展の道筋をたどってきた台湾の民主的選挙は、中国大陸の民主化に大きな影響を及ぼさずにはおかない。(在北京ジャーナリスト 陳言)

 1月14日の台湾総統選の投開票に対して、中国大陸では異常なほどの関心が集まっていた。国民党の馬英九候補と民進党の蔡英文候補の「英英対抗」の中、台湾が独立していくという心配より、台湾民主化の「制度」に関心を寄せていた。

 日本、アメリカの選挙についても、中国一般市民はたいへんな興味を示してきたが、それは所詮、民主主義国家で行われているものであり、基本的に中国人と関係なし。しかし、台湾となると、同じ中国語を話し、同じ経済発展の道を歩んできた同胞の政治制度だけに、一層興味深く観察する。

 国営の官報だけでなく、新聞スタンドで販売されている市場メディアも、台湾の選挙報道を集中的に行ってきた。国際ニュースばかり取り扱う『環境時報』は、選挙報道のために特派記者まで台湾に送って、国民党、民進党を区別なく報道した。

 台湾の民主化関連の情報は、選挙という政治イベントでどんどん大陸に入り、そこから中国の民主化は台湾に倣っていくだろう。経済成長を獲得してから政治の民主化を実現していく台湾方式は、中国のこれからの政治民主化の教材になる。言い換えれば中国の民主化は、「台湾化」していくという形で現れてくるとも思われる。

沸騰する台湾選挙の報道
政治制度自体が注目の中心

 投開票の1月14日まで、各ポータルサイトでは台湾選挙の特集を組んでいた。

 今までの台湾選挙に関しては、台湾が独立するかしないかが、大陸の関心点だった。今度は、「92年コンセンサス」(九二共識)も争点となっていたが、大陸のメディアはそこだけ集中して報道したわけではなかった。