商品の顔ともいうべき「商品名」。キャッチーでありつつ、購買意欲をそそる商品名が決まるまで、メーカーは試行錯誤を重ねている。しかし、中には世に出た後で“改名”し、バカ売れした商品も少なくない。(清談社 真島加代)

“改名”でヒット街道へ
「鼻セレブ」が日の目を見るまで

鼻セレブやカレーメシも、「改名後」にヒットした商品たち「ネピア モイスチャーティシュ」から「鼻セレブ」へ。改名とともに、うさぎやゴマフアザラシなどふわふわ系の動物パッケージに変更し、売り上げはなんと10倍に伸びた

 メーカーの汗と努力の結晶として、店頭に並ぶさまざまな商品。魅力的な商品名をつけることは重要なポイントとなる。その一方で、すでに販売されている商品の名前やコンセプトを丸ごと変えて売り上げがアップした商品も存在する。

 今回は名前を変えてバカ売れした3つの商品と、改名の経緯について各社の担当者に聞いた。

 まずひとつめは、王子ネピアのボックスティシュ「鼻セレブ」。しっとりとした肌触りが人気の「鼻セレブ」、もとは「ネピア モイスチャーティシュ」という名前だった。

「『鼻セレブ』の前身である『ネピア モイスチャーティシュ』が発売された1996年は、今のように“保湿ティシュ”というカテゴリーが確立されていませんでした。パッケージも目立ちにくいデザインだったため、なかなか店頭で手にとっていただく機会に恵まれなかったんです」(王子ネピア コンシューマーマーケティング部・酒井亜紀氏)

 今でこそ市場が確立されている保湿ティシュだが、発売時はカテゴリーそのものの認知度が低く、売り上げにつながらなかった。その一方で、実際に使用しているユーザーからは好評だったという。

「お客さまからは『使用感がとてもいい』『パッケージのデザインも品のある美しい青色で高級感がある』など、好意的なお声をいただいていました。もちろん、品質には自信があったので、まだ保湿ティシュを使ったことがない人にも試していただけるように、ネーミングやデザインを思い切って変えることになったんです」(同)

 その後「ネピア モイスチャーティシュ」の企画部員・デザイナーが集まり、プロジェクトチームを結成。同商品の魅力である「しっとりふわふわなティシュ」であることや、「鼻などの肌当たりがやわらかい」ことがひと目でわかるデザインやネーミングを生み出すために、話し合いが重ねられた。

「企画会議では、代案となる商品名が100案近く挙げられました。その中のひとつに『鼻セレブ』があったんです。“鼻”というインパクトのある漢字と、高級感をあらわす“セレブ”を用いたことが当時の企画部長に響き、一気に商品化に向けて話が進みました」(同)