日中国交正常化から今年で40周年。時代が変わっても、両国民の間には領土問題、歴史認識など重い問題が横たわっている。日中関係が新たな局面を迎える節目の時期に、次世代の中国を担う「80后」(バーリンホウ、“后”は日本語の“後”)と呼ばれる若者たちの生の日本観を、改めて調査してみよう。彼らは日本、そして日本人について、実際はどう思っているのだろうか。取材を重ねるにつれ、これまでの先入観を覆す意外な本音が数多く聞こえてきた。
(取材・文/ジャーナリスト 中島 恵)

中国の圧力に屈しないところが好き?
中国人が小泉首相を支持する意外な理由

「ここだけの話ですけどね。実は、中国の若者の間で、小泉元首相はかなり人気があるんですよ。小泉さんを好きだっていう中国人、けっこう多いですから」

 一瞬、我が耳を疑ったが、間違いではなかった。都内に住む「80后」(1980年代生まれ)のある中国人男性にインタビューしていたときのことである。

 声をひそめながら話す、彼の意外な言葉に私は驚き、「もうちょっと詳しく話を聞かせてくれる?」と頼んでみたが、警戒されてしまった。しかし、名前を出さない条件で少し突っ込んで話を聞いてみると、中国人の間で小泉氏の人気が高い理由として、次の点を挙げてくれた。

(1)(中国の圧力に屈しないなど)強力なリーダーシップがあること

(2)自分の意見を持っていて人目を気にせず、自分の意見をはっきりと口に出すこと

(3)これぞと思う案件には、徹底的に白黒をはっきりつけること

 これらは、いずれも普通の日本人には見られない特徴であり、中国人はそこに人間的な魅力を感じるのだという。

 強力なリーダーシップというのはわかるが、中国の圧力に屈しないことを中国人自身が「評価」しているというのか。