全国各地の工場などで着々と導入が進む“コンテナ型発電機”

 5月22日に開業してから5日間で入場者数が100万人を超えた東京スカイツリー。その電波塔には、新種のエンジンと発電機が2台納入された。これがインフラ関係者の注目を集めているのだ。

 この5月下旬より、世界最大手の建設機械メーカーの米キャタピラーは、同種のエンジンと発電機をパッケージにした「コンテナ型自家発電機」を日本市場に本格投入する。油圧ショベルなどの建機を扱っていた国内約250の販売店を通じて、工場や医療施設などの需要獲得を目指す。すでに自前の補修体制も整えており、部品は最短で当日発送する構えで臨む。

 コンテナ型発電機は、エンジン、発電機、燃料タンク、接続用の設備などをフルセットにしてコンテナに収めたもので、トレーラーで持ち運びできる。しかも、注文から約1ヵ月で設置でき、最大出力2000キロワットの機種は販売価格が約1億5000万円で、レンタルなら月額約1000万円で貸し出す計画(予定)など、導入しやすいように二つのメニューをそろえる。

 にわかに脚光を浴びている理由は、2011年3月の東日本大震災に端を発する原発事故による電力の供給不安である。過去には自家発電機と言えば、三菱重工業や川崎重工業が手がける据え置き型の大型発電機が主流だった。その間隙を縫って、キャタピラーは調整役の可搬型発電機を投入する。

 世界最大級のエンジンメーカーでもある米国のキャタピラー本社は、連結売上高の30%以上を発電機ビジネスで稼ぐ。これまで日本では、電力会社の供給体制が盤石だったので、この分野は数パーセントだった。日本法人の竹内紀行社長は、「数年以内に30%台に高めたい」と意欲を見せる。

 事実上、国内で唯一のコンテナ型発電機であり、この発電機を自社の開発案件に組み込みたい大手ゼネコンや、データセンターの非常用電源として導入を考える通信会社も出始めた。計10台まで連結して使えるだけに、さまざまな用途に対応できる。思いのほか、需要はありそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)

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