連載第8回は、かつて3000万円の売上を誇り、飛ぶ鳥を落とす勢いだった社会保険労務士が、「シュリンクの連鎖反応」にもめげずに、したたかに起死回生を狙う姿を紹介しよう。

 なお、本人との話し合いにより、前回に引き続き、今回は仮名ではなく実名でお伝えすることをお断わりしておく。

 あなたは、生き残ることができるか?


今回のシュリンク業界――社会保険労務士

 社会保険労務士は、労働関連法令や社会保障法令に基づき、申請書、届出書、報告書などを作成したり、労務や社会保険に関する相談や指導を、企業経営者に対して行なったりする職業だ。厚生労働大臣が実施する国家試験に合格し、一定の手続きを経ると、こうした業務を行なえる資格を得られる。

 企業内で「勤務社労士」として働くケースもあれば、独立する「開業社労士」もいる。全国社会保険労務士会連合会によると、2012年3月末日現在、社会保険労務士は全国で3万6850人。

 “人事労務のエキスパート”ではあるが、取引先の多くが中小企業であるために契約を失いやすく、他の士業の弁護士や税理士に比べると、経営や売上は不安定。業界では、ここ十数年、インターネットの浸透、助成金のあり方が変わりつつあること、さらにリーマンショック以降の深刻な不況などにより、売上が低迷する要因がいくつも折り重なっている。