日本の人口は今、何人くらいか、君は知っているかな。2010年の国勢調査を見てみるとだいたい1億2806万人。でも、この人口はこれからどんどん減ってしまうんだって。
国立社会保障・人口問題研究所では、将来の人口について3つの見方で予測を立てている。このうち、「中位推計」――出生や死亡の見込みが中程度と仮定した場合の予測――を見てみると、2030年には1億1522万人、さらに2060年には8674万人となっている。これは、第二次世界大戦直後の人口とほぼ同じ規模だ。
どんどん人口が減り、縮んでいく日本の社会。いったい私たちの行く手には何が待ち受けているんだろう?
――この連載では、高齢になった未来の私たちのため、そしてこれからの時代を担うことになる子どもたちのために、日本の将来をいろいろな角度から考察していきます。子どものいる読者の方もそうでない方も、ぜひ一緒に考えてみてください。
ナノテクノロジービジネス推進協議会
事務局次長 馬田芳直先生の話
人口減少、少子高齢化で急上昇!
2025年、現役世代の負担は2割増へ
1975年、東レ入社。ナイロン糸の販売、原料購買部門を経て、東レ・ファインケミカルにて経営企画、経理担当。2001年から東レ経営研究所勤務。調査研究部門理事として、特許分析やイノベーションシステムなどの研究にも携わる。ナノテクノロジービジネス推進協議会事務局次長
今までも見てきたように、これから先、日本の人口が減っていくと、いろいろと困った問題が起こるようになる。中でも心配されているのが「働く人が減ってしまうこと」だよ。
中学校を卒業する15歳から、定年を迎える65歳までの人数を「生産年齢人口(せいさんねんれいじんこう)」と言うんだけど、今後はこの人口がどんどん減っていくとされている。15年後には今よりも12.7%も少なくなってしまう見込みだ。
でも、本当に労働力は不足するんだろうか?
じつは労働力は不足したりしない、という予測がある。それどころか人が余り、仕事にあぶれる人がどっと増える可能性が高いんだよ。いったいどういうことなのか、これから説明していこう。
国立社会保障人口問題研究所の予測によると、13年後の2025年、日本の人口は今より6.2%減って、1億1927万人となる見込みだ。でも、さっきも説明したように、生産年齢人口はその倍減ると考えられている。人口に占める高齢者の割合が高くなる分、働ける現役世代の人口が少なくなるからだ。