「プロダクト・ライフサイクルは存在するのか?」から始まった

 コトラーの『マーケティング・マネジメント』でも紹介されたプロダクト・ライフサイクルPLC)戦略は、1950年にジョエル・ディーン(Joel Dean、1906~1979年)が、ハーバード・ビジネス・レビューで発表した『Pricing Policies for New Products』に端を発します。

 企業財務論のプロだった彼は、「勘と度胸で新製品の価格を決めるな! どんどん変わる生産・販売コストを見ながら思い切って安くしよう。逆に高くても買ってもらえるものを、安易に安売りしないでおこう」と主張しました。

 この先駆的研究に刺激され、多くの学者たちが、商品・サービスの栄枯盛衰といった「PLC(*1)」は本当に存在するのか?」「どんなパターンがあるのか?」を追い求めました。

 さまざまなパターンが見つかりましたが、ともかくPLCは存在すると認められました。

   日本レコード協会資料より三谷作成。録音済みのコンテンツのこと。


 そうしたら次は、「なぜこんなことが起こるのか?」「各々のライフサイクルステージでどうすべきなのか?」が問題となります。さらに多くの経済学者・社会学者・マーケティング学者がこのテーマに挑みました。

*1 経済学者のレイモンド・バーノン(Raymond Vernon、1913~1999年)も1965年にプロダクト・ライフサイクル理論を、生産地移転(先進国から発展途上国へ)を説明するために考えた。