安倍晋三自民党総裁が総選挙の争点として掲げている金融政策について、各方面で反響を呼んでいる。「安倍緩和」ともいうべき方向感に、市場は素直に反応して、円安、株高になっている。
解散後、安倍氏の金融緩和の主張によって株価は800円近く上昇し、9423.3円(11月27日終値)。野田政権の平均株価8925円。この水準をはるかに超えている。また、野田政権で今の株価より高い期間はわずか16%しかない(図1)。
これはいわゆる政策レジーム・チェンジへの期待にほかならない。戦前の昭和恐慌でも、高橋是清が出てきて、政策レジーム・チェンジ(金本位制離脱、日銀の国債引受)が実施され、インフレ予想が上昇し、昭和恐慌から脱出できた。
自民党が総選挙に勝ち本当に政策レジーム・チェンジが行われ、デフレ脱却した暁には、後世の史家は11月14日の衆議院解散、その後の安倍氏の発言が政策レジーム・チェンジの転換点になったというだろう。
一方、現時点では、金融緩和の効果を疑問視する意見もある。それらの疑問はおよそ6つにまとめられると思うので、今回はそれらに答えることとしよう。