6月14日に政府が閣議決定した日本再興戦略の中で、今年の秋に投資減税を検討する旨が表明された。法人税減税を求める声も大きい。
この前提にあるのは、「日本の法人税負担は重い」という認識だ。以下では、これが正しいか否かを検証する。
「実効税率」指標の問題点
「日本の法人課税の負担が諸外国に比べて重い」と言われる根拠として、通常用いられるのは、「法人の実効税率」という指標だ。
これは、法人税等(日本の場合は、国税としての法人税と、地方税である住民税及び事業税の合計)の法人所得に対する比率である(地方税負担の一部が国税で損金算入されることを調整してある)。
2011年当時、「日本の実効税率は40.7%(国税27.89%、地方税12.80%)であり、アジア諸国はもとより、ヨーロッパ諸国より高い」と言われた。
こうした認識に基づいて、2011年に法人税率の引き下げが行なわれた(2012年4月1日以後に開始する事業年度について、法人税率を30%から25.5%へ引き下げた。中小法人に対する軽減税率は、18%から15%へ引き下げた:図表1参照)。
その結果、日本の実効税率はかなり低下した。財務省の資料によると、図表2に示すとおり、13年1月における日本の実効税率は、東京都の場合、35.64%だ(国税が23.71%、地方税が11.93%)。これは、アジアやドイツ、イギリスなどと比べれば高いものの、米国(40.75%)よりはかなり低く、フランス(33.33%)と同じくらいである。