中国の強さを見せつけるプレゼン
マレーシアのWCEFで見た現実

 2週間ほど前、マレーシアで2日間にわたって開かれた「World Chinese Economic Forum」に参加してきた。

 これは、毎年中国の経済シンクタンクが開いているもので、中国内外の経済人、政治家、学者を集め、経済促進のための情報交換と議論をする場である。今回も、前マレーシア首相のマハティール氏をはじめ、オーストラリアのヴィクトリア州知事、シンガポール、マレーシア、中国経済関連の要人など、豪華な顔ぶれが揃った。

 彼らのウェルカムスピーチの後、ファイナンス、中国経済の行方、中国へのビジネス進出の可能性などについて、学者と実務家が議論、学者も中国内外の経済学者を中心とした顔ぶれを揃えている。

 筆者の専門ではない話も多かったため、全ての議論を完全に理解したわけではないが、フォーラム全体を通して一貫した印象があった。

 まず、中心アジェンダは「中国推し」によって、中国からの東南アジアへの投資受け入れの活性化、さらに中国への投資活性を狙っているということ。そのために、特に中国側のスピーカーは「中国躍進」を示すデータを次々と出してくる。

 しかしながら、それらはマクロデータばかりで、しかも中国にとって良いデータのみであった。また日本や韓国との比較はあまりせず、アジア経済は圧倒的に中国のパワーが強い、ということ印象付けるようなプレゼンが目立っていた。

 一方で、中国人以外のスピーカーの中には、中国にとって痛い点を突いてくるものもかなりあった。1つは、実際にビジネスを行っている中国外の経営者の方々からのもので、中国でビジネス運営するときの風通しの悪さ、アンフェアさについての不満と不安であった。