ドル円相場は、5月22日に103.74円に達した後、98円プラスマイナス3円のレンジで膠着している。しかし、今年後半から来年にかけて米GDPの成長率が3%超となり、ドル円は再び100円を超えて上昇するとの基本観に変わりはない。アベノミクス始動直後から、米景気の自律回復に伴うドル高円安がどこまで進むか、検討してきた。結論として2015年末120円をメインシナリオとしている。
実は、アベノミクス以前から、15年にかけてドル円は上昇サイクルをたどると表明してきたが、当時想定したピーク水準は100円。11~12年の75~80円水準を出発点に、通常の景気・金利サイクルを映したドル円の上昇率は20~30%との見立てからだ。
グラフは、日米インフレ格差から算出した購買力平価(PPP)、ドル円相場の理論値の推移。このPPPは、特定の一時点を計算の基準点にする恣意性を排除すべく、1980~04年の長期平均を基準にして求めている。歴史的に景気サイクルに沿った為替変動の大半は、このPPPプラスマイナス20%の範囲にとどまっている。
現在、ドル円のPPPプラス20%の水準は約105円。日米間のインフレ格差は1年に2%程度。その分、PPPはドル安円高方向に動く。それを15年末まで延長すると、この上限水準はほぼ100円になる。
おそらく「民主党政権+白川日銀」のようにデフレ脱却への意欲を欠く政策が続くとの想定下では、15年に100円の予想水準はおおむね妥当だった。